1999年、恐怖の大王が地球を滅ぼすことなく世紀末は過ぎ行き、オカルト・ホラーブームは収束し、スピリチュアルが流行しはじめた。
オカルト・ホラー、都市伝説はサブカルチャーと分類されるものであるが、スピリチュアルはサブカルチャーと分類されにくい。いや、分類されにくいというよりも、興味を持つ人が「これはサブカルチャーだ」と自認するオカルト・ホラー等とは違い、スピリチュアルに高い興味関心を持つ人々は、決してそれがサブカルチャーだとは認めないのである。
オカルト・ホラー、都市伝説には「信じるも信じないもあなた次第」という揺るがない不文律があるが、スピリチュアルには「信じるも信じないもあなた次第、ただし、信じる者は救われ、信じない者は魂のレベルが低い」というニュアンスのものも少なくない。
規範からの逸脱を認めないスピ信者
2000年以降の日本式スピリチュアルは、1960年代後半から70年代にベトナム戦争の激化や公害問題を背景にして盛り上がった反アメリカ的な思想・ムーブメントとしての「ニューエイジ」と、日本神道における産褥・血褥といった見解や、儒教における性分業意識といった女性軽視を足して混ぜあわせた印象が強い。
なお、ホメオパシーなどのホリスティック(全人的)医学に分類されるものはニューエイジの要素が強く、銀座のホステス出身で人気エッセイストとなった蝶々をはじめとした「モテスピリチュアル」とも言うべき思想(恋愛とスピリチュアルを強引に結びつけている)には日本神道や儒教の要素が強いという傾向がある。