妊娠するために体質改善を心がけたり、妊娠に関する情報を身につけたりする活動=妊活。その方法は幅広く、サプリを飲むなどの気軽なものから高度生殖医療に手助けしてもらう本格的なものまでとさまざまです。昨今ではタレントの〈妊活宣言〉がめずらしくないほどちょっとしたブームになっていて、スピリチュアル界隈にも〈子宝に恵まれるパワーストーン〉だの〈チャネリングで妊活相談〉だの、斬新(?)な妊活手段が転がっている模様。
そんなスピ的妊活は、何がどう作用して妊娠成立するのか首をかしげたくなるものばかりですが、かろうじてなじみ深いと思われたのが、その存在を知らない人はいないであろう〈手相〉。手相とはその人の性質や運命、出来事などが手のひらに現れるので、それを読み取るという手法の占いです。合コンやキャバクラで「俺、手相見れるんだよね~」なんておさわりのきっかけに使われていることも、いかにポピュラーな占いであるかの現れでありましょう(ポピュラーだけど、寒いので辞めましょう)。
さて、手相鑑定ではその人の性質や恋愛や結婚の時期、仕事の状況などが語られるのが一般的ですが、〈妊娠線〉なるものが存在し(皮膚が急激に伸びてできてしまうアレではありませんよ)、妊娠&出産の時期までがわかるのだといいます。妊活は時に〈出口の見えないトンネル〉なんて言われることもあるように、長引けば長引くほど心身ともに疲弊してしまいがち。もし、いつ妊娠&出産するのかわかるのなら、そんなに便利なことはないのでは!? 都内某所で鑑定を行っている手相家O氏のHPにはこう書いてありました。
“何歳に妊娠するか、過去から未来まで8割以上の確率で当たります!”
マジですか。本当に!? あまりに自信満々なその宣伝文句につられ、興味が一気に高まります。そんなわけでとある週末、その当たるという〈妊娠占い〉をウォッチングするため、体外受精の結果待ちだという知人女子T子(37歳)に手相鑑定を申し込んでもらいました。そして事前に「同行者アリ」と断りを入れてもらい、わたしも一緒に先方に指定された都内の某マンションへ。
恋愛か、妊娠か
鑑定だけに使っているようなこじんまりとした部屋で出迎えてくれた手相家O氏は、柔らかな物腰でいて、眼光の鋭い実業家風。奥様方のファンが多そうですな~とゲスい妄想をしている私は気にもとめず、O氏は淡々とT子の手を鑑定しはじめます。ざっと性格などを解説した後に、手のひらに年齢を示す印をボールペンでチョンチョンとつけ、
O氏「これが職人技でね。流年法と言って、日本でもコレをできる人は少ないんですよ」
へえ。たしかによく見る手相鑑定時の印つけより、細かいように見えなくもないかも?
O氏「ご結婚はいつですか?」
T子「27歳です」
O氏「妊娠線と恋愛線はまったく同じ線として現れるのでどちらかということになるんですが、結婚後に2回ほどタイミングがあったようですね。29歳と33歳。でも、ここで妊娠していないってことは、恋愛していたか、それとも別の何かに熱中していたか……。(左手を見ながら)こちらは相手の想いも現れます。……なるほど、相手もだいぶお熱を上げていたようで(笑)。しかも、(お相手は)ひとりじゃないみたいですね」
T子「あははは……」
あらあらあら。それってちょっと、私が横で聞いていていい話なのかしらあ!? どこまで当たっているのかはわからないものの、予想外の個人情報に、横で聞いている私が嫌な汗をかいてきてしまったではないですか。占いは基本、ひとりで行くべきですね。まあ、それより妊活情報に集中しましょう。