婚活というワードがすっかり定着して数年。お見合いパーティーや結婚相談所、インターネットを介したマッチングなど、成婚を目標に様々な婚活に取り組む男女が数多くいる。
現状、日本では男性向けよりも女性向けの恋愛・結婚指南テキストが圧倒的に多い。わずかながら存在する「結婚したいけどできない男性」に対しての婚活本を、今回は読み解いてみたい。
釣られた嫁はどうなる?
前回の記事で紹介した『結婚できない理由は、統計で答えがでている』(遊タイム出版/2013年)は、関西で結婚相談所を主宰するプロ仲人・山田由美子さんが、30~40代の婚活男性へ向けて綴った一冊。山田さんは「年齢が高めの男性にはお見合いがおすすめ」と推奨しており、不特定多数の女性に好かれようとせず「相性の良い女性1名」と出会うためのシステムとしてお見合いを活用することを説いている。
もうひとつ紹介したのが富山県の結婚相談所所長・西田昌史さんの『3カ月で結婚できる おとこの婚活本。』(ダイヤモンド社/2010年)だが、こちらはお見合いパーティーや結婚相談所で「女性から結婚対象外にされないため」の振る舞い方やマナー、外見改造術が事細かに記されている。ここにあるルールを独身男性たちが真面目に実践すれば、相手女性からはそこそこ悪くない物件と認識されるかもしれない。しかしあくまでも成婚をゴールとしているため、婚活中の身だしなみや振る舞いを「結婚に向けての自己投資」と説いている点がやや気にかかる。
たとえば、30歳以上の独身男性で趣味を持つ結婚相談所登録者に対して、西田所長は「趣味は結婚するまでは半分くらいにして、結婚後に全開態勢を取りなさい」と諭している。ここで例とされて趣味は、釣りやパチンコ、競馬、車、ゴルフ、オーディオ、オタク系のファン活動やグッズ集めなど。うーむ、こうした趣味を「結婚するまではガマンして、いざ夫婦になったら全開にする」って、成婚相手の女性にしてみたら「騙された!」と失望してもおかしくないのでは? 「そんな趣味を持ってる人だと知っていたら、結婚には至らなかったのに……」あるいは、「お付き合いしている時は毎週末デートをしていたのに、結婚したら夫は休日を趣味に費やしてばかり」と妻の不満を募らせる結果になりかねない。