8月21日、内閣の有識者会議が「少子化社会対策大綱」を受けて議論してきた結婚や子育ての支援策として、「お見合いの仲介役を育てる支援」などを盛りこんだ提言をまとめ、有村治子少子化相に提出しました。
「お見合いの仲介役を育てる支援」……? 目を疑いましたが、虚構新聞ではないようです。本気で政府はこんな政策を打ち出すつもりのよう。そんなおせっかいはしなくていいので、もっと別の政策を打って欲しいですし、税金の無駄遣いだとしか思えません。ただ、もしかしたらこの政策が有効な可能性もある。というわけで、まずはいま「お見合い」をきっかけに結婚をする人がどれだけいるのかを調べました。
「出生動向基本調査」には「夫婦が出会ったきっかけ」に関するデータがあります。このデータでは出会いのきっかけを、「恋愛結婚(職場や仕事で、友人・兄弟姉妹を通じて、学校で、街なかや旅先で、サークル・クラブ習いごとで、アルバイトで、幼なじみ・隣人)」と「見合い結婚」「その他・不詳」の三つにわけています。
1982年に行われた第8回調査では「恋愛結婚」が68.1%、「見合い結婚」が29.4%、2010年の第14回調査では「恋愛結婚」が88.1%、「見合い結婚」が5.2%となっており、「恋愛結婚」の割合が20%ほど増え、一方で「見合い結婚」は24%ほど減少しています。この傾向は趨勢的なもので、次回の調査でも同様の傾向が見られると考えられます。ちなみに、「恋愛結婚」の内訳をみると、上位三つは「友人・兄弟姉妹を通じて(29.7%)」「職場や仕事で(29.3%)」「学校で(11%)」であり、日常的な場での出会いが多数を占めていました。
政府は「お見合いでの結婚が減ったから、未婚率が高くなっているんだ」と考えたのでしょうか? 「出会いがない」という人がお見合いをきっかけに結婚する可能性はなきにしもあらずでしょうが、現実的に結婚や少子化防止の対策として有効かと言えば……有識者が考えなくてもわかりそうなものです。
続いて、どれだけの人が「出会いがない」ことを理由に結婚していないのかを調べてみました。再び第14回調査から、「独身にとどまっている理由」を見てみると、若い年齢層(18~24歳)は「(結婚するには)まだ若すぎる」「必要性を感じない」「仕事(学業)に打ち込みたい」が上位を占めています。この層は、結婚に対する積極的な理由を見出していないようですから、若者世代にお見合いを持ちかけても意味はないと考えられます。
一方で25~34歳の年齢層になると、「適当な相手にめぐり合わない」が男性は5割近く、女性は5割強ほどを占めています(この年齢層でもいまだに「必要性を感じない」「自由や気楽さを失いたくない」も根強い)。この年齢層に対しては、出会いの場を提供する「お見合いの仲介役」も響くのでしょうか。
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