年末の定番企画に乗っかり、当連載では今年キラキラ輝いていたスピ物件を振り返ってみましょう。
1位 トンデモ医の勢いが止まらない!
殿堂入りの〈トンデモ医〉たち、今年も大活躍です(悪い意味で)。反医療、反原発、反ワクチン、打倒砂糖牛乳添加物。まずはロイヤルストレートフラッシュ並みに香ばしい思想をお持ちでいらっしゃる自称キチガイ医こと、内海聡氏。今年も鼻息荒く「障害児の出産は親の責任」なる発言で大炎上。
子宮頸がんは放置してよし! と主張する、ご自身が癌のような近藤誠医師は、川島なお美さんが亡くなると「死んだら守秘義務の対象じゃないもんね」とばかりに週刊誌にセカンドオピニオンの様子を暴露するというゲスッぷり。
胎内記憶でおなじみの池川明医師は、今年10冊近い新刊を出し、勢い止まらずといったところ。しかしこの年末は覚せい剤を与えられたりゴミ箱に突っ込まれたりして乳児が亡くなる事件がありました。これでもまだ〈子どもは親を選んで生まれてくる〉説を貫くのか、ぜひその見解をお聞かせいただきたいです。
2位 母乳こそが至高……だと!? 母乳神話ヒートアップ
そんな商売があるのか! と世間を驚愕させた、母乳のネット販売事件が話題になったのは今年の夏。〈粉ミルク育ちはキレやすくなる〉〈哺乳類なんだからがんばれば絶対に出る〉などの母乳神話は以前よりあるものの、自然派志向の影響からか、ここ数年ヒートアップしています。特に〈母乳育ちは目の輝きが違う〉という、どうやってジャッジするのか謎過ぎるお説がツボに入ってしまったので、年明け改めて、当連載にてご報告予定です。
そういえば『げんしけん』の作者が(木尾士目)自身の育児体験をもとに描いた『ぢこぷり』(講談社)がありますが、その中でも主人公である母親が「母乳をやめるなんて私にはものすごい敗北」とか言っちゃってたな~。いかに追い詰められたかという状況の描写でマンガ自体はすごく面白かったけど、せめてあとがきでフォローなり入れませんかね。わかるわかる~と賛同する、おっぱい右翼(※『産婦人科医と小児科医ママの楽ちん授乳BOOK』(メタモル出版/宋美玄・森戸やすみ著)にて宋美玄先生が命名)が増えそうですよ。
3位 即身仏のススメ。不食男子が登場!
一定期間食べない〈断食〉とは違い、食べない生き方という〈不食〉。エネルギーの摂取は食品からではなく、太陽と大地から得るとの摩訶不思議なお説でありますが、今年はこの〈不食の人〉がチラホラとメディアに姿をあらわすようになりました。30日間の実践後、枯れ木のような姿でネットを賑わせた俳優・榎木孝明や、スピッた健康誌『ゆほびか』が推す秋山弁護士は、今年輝いていた不食人と言えるでしょう。本人たちは健康! 幸せ! と主張するものの、傍から見たら心配になるレベルです。
4位 おまた界、大暴走
世界の片隅で経血コントロール、子宮温暖化! と叫ぶ〈おまたマスター〉たちが、今年ついにおまたぢから協会を設立! その中心人物である立花杏衣加(たちばな・あいか)氏は、ノリにノリすぎたのか新生児に与えるK2シロップを否定しはじめ、巷から大ひんしゅくを買う始末。
子宮の声に耳をすませると幸せになれるとうい子宮教も、大暴走が止まりません。今年の秋に著書を初出版した子宮委員長はる氏と、ひとり宇宙(マスターベーションのこと)推しの剱持奈央(けんもつ・なお)氏は、メジャーなスピ健康誌「ゆほびか」(マキノ出版)にも登場。子宮系女子がメジャーなメディアにとりあげられることでますます信者が増えたのか、子宮委員長はるの個人セラピー〈お宮様セッション〉は、当連載でご紹介したときは90分間10万円でしたが(その後60分10万になった)、ブログによると来年度は49万円に値上がりするそうです。でも子宮様がそうしろと言うのですから、仕方がありませんね。