今週に入ってからmessyでは「生理」関係の記事が続いています。どれもたいへん興味深く拝見しました。
・女性の生理は、女性のものではなかった。それによって私たちが失ったもの/『生理用品の社会史』田中ひかる氏インタビュー前篇
・月経血は「きれい」なのか? 透明化した生理と、女性の生きづらさの関係/『生理用品の社会史』田中ひかる氏インタビュー後篇
・生理中の女性は万引きし、放火する…。昔からあった婦人科系トンデモの世界
そして私は毎月必ず自分の身体に訪れる現象なのに、生理についてあまり深く考えてこなかったことに気づきました。「今月もちゃんと来た」は健康のひとつのバロメーターにしてはいますが、そのほかに思うことといえば「めんどい」「痛い」「早く終わってほしい」どまり……。
女性同士で、生理について突っ込んだ話をしたこともありません。生理と社会場とか、自分にとっての生理とか、小むずかしいことを話したいわけではなく、たとえば「あの生理用品、いいよね!」「この鎮痛剤いいよ~」といった話もあまりされないように思います。コスメやサプリメントについての情報交換と同じノリで、そういう会話が交わされていてもよさそうなのに。1カ月のコスメ代は個人差が大きいと思いますが、生理用品に使う代金はそこまで差がないはず。本来なら、同じ目線でアレコレ話しやすいテーマのはずです。また、「お腹が痛い~」という弱音を「たいへんだよね、わかる~」と共感されることはあっても、「こんなにお腹が痛いって、ヘンじゃない?」と相談されることはめったにない印象です。
かくいう私も、生理の憂うつを乗り越える「対策」をばっちりしている一方で、それについて人と話したことはほとんどありません。なぜだろう? 上記の記事にある「いまだ生理について語りづらい風潮があるから」というのを、私も内面化してしまっているからかもしれません。
大きな声にチューニングが合う
一方で、生理について大いに語っているのは、布ナプ教(すべての布ナプユーザーがおかしいわけではないですが)の人や、経血コントロールを信じる人たち……つまり子宮系女子たちです。この方たちの不思議な思考回路については「ジェムリンガ挿入体験」を通しても触れましたが、共感できる部分はまったくありませんでした。でも、この界隈の方たち、ネット上での声は非常に大きく、やれ「股を締めれば血は出ないだの」だの、やれ「生理はきもちいいもの」だの、生理についてあることないことガンガン発信していらっしゃいます。
毎月ちょっとは愚痴りながらも淡々と生理期間を過ごすサイレントマジョリティーと、デタラメでもお構いなしに撒き散らすノイジーマイノリティと。何か生理について知りたくて調べているときに、その声の大きさゆえにうっかり後者にチューニングが合ってしまうケースは少なくなさそうです。それは単にアンラッキーということではなく、背景には「女性は意外と生理について無知である」という事実があります。何も知らない。同じ悩みを持つ人の話を聞いたことがない。解消したという話も聞いたことがない……。そのよるべなさはわからなくもありませんが、病院で相談する気はなく、ちょっとネットで調べたところ、声が大きく、「わかる~」と共感してくれそうな人たちを見つけて、そちらに流れてしまうのは安易すぎます。
そんな女性がひとりでも減りますようにという願いを込めて、じゃんじゃん推進したい生理トーク。まずは私自身から……といってもただの一個人の体験など誰の役にも立たないかもしれませんが、「私はこうしている!」「それはへんじゃない?」など少しでも議論のきっかけになれば幸いです。
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