作詞家、ラジオパーソナリティ、コラムニストとして、さまざまな分野で活躍しているジェーン・スーさん。「10匹のコブタちゃん」での、歯に衣着せぬズバズバトークを耳にしたことのある人もいるのでは? そんなジェーン・スーさんが10月12日に『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ社)を上梓しました。
愛の名のもとに相手に何かを望むのは、傲慢以外の何物でもありません。
『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』は、その名の通り、ジェーン・スーさん含む“未婚のプロ”たちがプロポーズされなかった理由101個を解説したもの。帯には、「未婚のプロ、ジェーン・スーの数々の失敗に学ぶ新しい結婚指南書」の文字が……。そう、この101の項目はすべて、ジェーン・スーさんとその女友達=「未婚のプロ」の実体験だというのです。
表紙をめくれば、「独身は麻薬!?(「シングルイズドラッグ」とルビ) こちらの世界にくる前に、さあ! 逃げて!」とのお言葉が。しかし、筆者(アラサー未婚女・結婚したい)が見る限り、ハートの痛みに「あぁ~」とひざを落としてしまうほどに、思い当たる項目が多すぎる! ジェーン・スーさん、いったいこれは何の罰ですか……。
ジェーン・スー(以下、ジェーン)「大丈夫ですよ、私も現在進行形でほとんどやってますから。この本には、私たち未婚のプロができなかったこと、そしていまだにやっていることが101書いてあるだけであって、ダメ出しをしたいわけはないし。ダメな人が淵の底から『同じ轍を踏んだら、未婚のプロになるぞ!』と警告しているのが、本書なので……」
ならば安心して告白するんですが、特にドキッとしたのは、1つめが「将来に一縷の不安も抱かせない完璧な男と、結婚しようと思っている」、2つめが「彼と連絡が取れないとき、連続で3通以上メールを入れたり、留守電を残しまくったりしたことがある」、3つめが「指輪のブランドから式場まで、理想のウェディングプランを彼に話した」なんですよ。
ジェーン「いや~、自分本位だね(笑)! わかる、やってたし、下手したらいまだにやりますから。でも、結婚相手って、あなたの将来を保証するものでもなければ、親に代わる保護者になってもらうものでもないし、自分の演出通りに動いてくれるものでもないんです。こういうのを“愛”の名のもとにピュアな願いとして押し付けるのが、一番傲慢。相手の都合をまったく考えていない……と、自戒の念を込めて言いたいですね」
男が女を喜ばせようとする行為は、すべてセックスと同義であるという心得
うひ~、安心して告白したら、実感のこもったご指摘が余計に痛いという凡ミス! いままで付き合ってきた男性に申し訳なくなってきましたよ。ちなみに、ジェーン・スーさんが結婚に悩むアラサーに多いなと思う項目は?
ジェーン「先ほども挙がった『将来に一縷の不安も抱かせない完璧な男と、結婚しようと思っている。』ですね。私も、20代後半から30代半ばまでは、思っていました。『彼、いい人だけど父親には向いていないな』とか『この人、このままだと将来あんまり出世できないだろうし、どうしたらいいんだろう?』とか、不遜にも真顔で悩んでましたよ。妊娠もしていないし、自分が妊娠できるかもわからないのに。しかも、人に自分の人生を丸投げしようとして! 愚行ですよ……」
ジェーン・スーさんが反省するたびに、自分がどれだけ相手の気持ちを考えず、一方的な押し付けをしてきたかがわかってくるという……なんですか、この現象! 逆に、やらなくなったことってありますか?
ジェーン「『彼が連れて行ってくれるレストランで、必ず空調や店員の態度にケチをつける。』は、やらなくなりましたね。男が喜ばせようとしてくる行動は、極論を言えば性交渉と同じだと考えています」
名言キタ! それ、どういう意味ですか?
ジェーン「セックスのとき、相手がしてくることに、いちいケチはつけないですよね? 男性の女性を喜ばせたい欲って強烈ですから、尊重されないと男性は傷つくし、その女性への評価も下がるんです。『こんなの初めて♡』って言わせたいヤツらですから」
しっかと胸に刻んでおきます! しかし、相手のせいでコミュニケーションが取れない気がして「なんでいつもこうなの?」って怒ってたけど、関わろうとしてなかったのは自分だったんですね。マジ謝りたい。今すぐ過去の彼氏に謝罪をしに行きたい……。
ジェーン「今はやめてください(笑)。ま、大切な女友達にやらないことは、彼に対してもしないほうがいいでしょう。女友達にはできる気遣いが彼氏相手にできないというのは、往々にしてあることですからね」
【後編へつづく!】
(取材・文=次永桃子 / 写真=はま子)