童貞ばかりの工学部で男遊びは楽勝?
同一のコミュニティで複数の色恋沙汰を起こし、人間関係を崩壊させる「サークルクラッシャー」。前回は、自己肯定感が低いがゆえに、“常に誰かから愛されている状態”を求める「承認欲求型」を紹介した。今回も引き続いて、著者が取材した実在する彼女たちのエピソードを紹介していく。次に紹介するパターンは、「狩猟型」とも呼べるサークルクラッシャーだ。
「彼氏がいたときに、浮気しなかったことはない」と語るのは、関西の女子大生・Aさん。極度の寂しがり屋で、彼氏がいない時間が耐えられないため、その時間を埋める男を常にキープしていた。そんな状態に対し、「私はモテる」という他人への優越感を抱くこともあった。
Aさんが進学したのは工学部。女性比率は極端に低く、キャンパスには男ばかりがウロウロしている。しかも、「工学部は、女性経験が少ない男が多い。ほとんど童貞」(Aさん)という。入学当初から同級生と交際を始めたが、「遊ぶならこの環境は、めっちゃ楽勝だと思った」。
交際していた彼氏は、周囲との関係を気にする性格で、仲良しグループ内でAさんと付き合っていることを大っぴらにしたがらなかった。この状況は、Aさんにとっても願ったり叶ったりである。立て続けに5人と肉体関係を持ち、彼氏と会えない時の暇つぶし、または授業ノートやレポートの写しを頼む要員として、女性経験が乏しい理系の男たちを手玉に取り始めた。ちなみに肉体関係を持った5人以外にも、Aさんに尽くす男たちは複数存在していた。
「アッシー君みたいなもの?」と聞いた筆者に、「そうそう。それです!」と明るい声で即答したAさんは、若いわりに古い言葉を知っているのか、それとも話を合わすコミュニケーション能力に長けているのか。いずれにしても男を小間使いのように使い倒し、なおかつ複数の男との関係が周囲や彼氏にバレることもなく、華の女子大生ライフを謳歌していたという。
そんな“完全犯罪”が崩れたのは、意外な出来事がきっかけだった。Aさんと彼氏が付き合っていることを知らないグループの女性が彼氏にモーションをかけ、それをAさんが「私の男に手を出すな」と咎めたのである。その言動が原因でAさんと彼氏との交際がおおっぴらになると、いたるところでほころびが生まれ、Aさんの所業は白日の下に晒されてしまった。
「自分が遊ぶのはいいけど、彼氏が遊ぶのは許せない」というAさんの理屈は筆者にはよく理解できないが、結局はAさんを止められるのは、Aさんしかいなかったということになる。Aさんによる自滅がなければ、Aさんの“狩猟”はさらに拡大していた可能性すらあるのだ。