視聴率が1ケタ台でもほとんど悪評の聞こえてこないTBS火曜ドラマ『カルテット』。あらゆる媒体の記事が集まるヤフーニュース内の記事を閲覧していても、『カルテット』及び出演陣に対する評価は軒並み高いんです。脚本も演出も小道具もそして役者陣も全部、これぞドラマ! って感じですもんね。学芸会ではなく、テレビドラマとしての完成度の高さよ。また、これによって再注目されている高橋一生記事の多いこと多いこと。そりゃもう、ファンは何本だって読みますよ~。
カルテット(4重奏)を組むことになった30代の男女、真紀(松たか子)、すずめ(満島ひかり)、愉高(高橋一生)、司(松田龍平)。一話ではとにかく謎だらけだった4人ですが、一話の終盤で真紀の夫が失踪していることが明かされ、二話では司の恋愛、三話ではすずめの過去が明かされるなど、ちょっとずつ各々の人となりが見えてきています。そして四話はお待ちかねの! 高橋一生回です。
35歳にして美容院アシスタントのバイトリーダー、謎の男に追われている愉高。前回ラストで男が見せた写真は女性と愉高のツーショットでしたが、この女性は……誰なんでしょう?
▼大量の謎と伏線を散りばめた大人ドラマのはじまり/『カルテット』第一話レビュー
▼松田龍平のストーカー告白、ずるい濡れ場!「捨てられた女舐めんな」「今日だけのことだよ」/『カルテット』第二話レビュー
▼家族を捨ててもいいし、会いたくないなら逃げていい。/『カルテット』第三話レビュー
良いパパになりたいけど、なれそうにない愉高
第四話は、カルテット4人が暮らす別荘でゴミ出し問題浮上の件からスタート。司が他3人にゴミ出し分担を迫りますが、のらりくらり逃げる3人。軽井沢の冬の朝って絶対寒いですよね……。今回の主役・愉高はというと、司に「すずめちゃんに朝起きろは無理だよ」と意見、さらにゴミ出しする条件としてお小遣いの要求、なぜなら「バイトクビになっちゃって厳しいんだよね」。いつの間にクビになったんでしょうか。そういえばすずめも無職で、収入といえば真紀の義母・境子(もたいまさこ)が支払う真紀のスパイ報酬くらいのはず。カルテット・ドーナツホールとしての演奏収入も多少はあるでしょうが、少額でしょう。どうやってスマホ代払っているんでしょうか。4人の生活費、もしかして全部、司持ち?
けれどそんなの些末なことで、その朝、別荘に突然の来客――愉高を度々追い詰めている謎の男2人組、半田温志(Mummy-D)と墨田新太朗(藤原季節)が訪れたことで、事態は急変します。前回終盤同様、女性と愉高のツーショット写真を手に「この女どこにいんだよ?」とドスをきかせて迫る半田。愉高は「だから、知りませんて。この根性なしの僕がこんなどうでもいい女をかばうわけが……」と相変わらず知らぬ存ぜぬを通しますが、墨田が愉高のヴィオラを持ち出すとさすがに愉高も「ワァーオ゛!ワァオ゛ッ! ウワァオ゛! ウワァーーオ゛ ウワァ!」。そのまま大事なヴィオラを持ち去られた愉高ですが、「あの人たち悪くないんです。悪いのは(写真の)この女です」と。じゃあ“この女”っていったい誰なのかというと、愉高の「別れた妻」。バツイチだったのです。
写真の女性は、愉高の元妻・茶馬子(ちゃまこ)。2人の間には小学生の息子もいますが、現在は茶馬子が引き取って育てています。ではどうして、半田たちが茶馬子を追っているのかというと、「茶馬子は僕と離婚してすぐ、彼氏を作ったんです。その男が西園寺誠人っていう金持ちのくせに親の跡も継がずに小説家になりたいってわがまま言っている奴(お前が言うな)で、茶馬子と夜逃げをしたんです。さっきの2人はそいつの父親の部下で、目的は西園寺誠人と茶馬子を別れさせて(誠人を)家に連れ戻すこと」。西園寺誠人からは、愉高と同じにおいがするんですけど……茶馬子さん、芸術家肌のダメ男がお好きなんでしょうか。
どこまでホントかわからない、飄々とした愉高の語りではありますが、曰く「昔、Vシネの俳優やってた時に宝くじ当たったんですよ、6千万。ところが買ったまま忘れて当たったの知った時には引き換え期限切れちゃってて。やけになって毎晩飲み歩いていたらスナックで女性と出会って、飼ってたハムスター死んで悲しいって言うから一緒に映画観に行ったら映画の中でもハムスター死んじゃって。慰めてるうちに結婚しちゃいました。僕も元気なかったらね。元気があったら人は結婚なんかしないでしょ。その相手がこの茶馬子」。元Vシネ俳優、似合いますね。
離婚したのは数年前の猛暑の夏、理由は「僕がなかなか定職に就かなかったのもあって(“もあって”じゃなくて、それが離婚の主たる理由だろ~)。結婚ってこの世の地獄ですよ。妻ってピラニアです。婚姻届は呪いを叶えるデスノートです。毎日喧嘩して、離婚届持ってこられて、それでも……息子と離れたくないから抵抗してたんだけど(だったら定職に就けよ)、ある時駅の階段から落ちて僕入院して……(愉高、真紀をじっと見つめ、逸らしました)。とにかく、人生であんなに憎んだ人はいません」。愉高、自分に非があったって言っているようなものですが、それでも出来れば離婚はしたくなかったようだし、息子と一緒に暮らしたいと思っていたというから身勝手。そう、身勝手です。