木村拓哉(44)が主演を務めたドラマ『A LIFE~愛しき人~』(TBS系)が3月19日に最終回を迎え、平均視聴率は全話で最高の16.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)を記録した。放送前は散々高すぎる期待値を煽られ、スタートするや「まさかの15%割れ」と数字ばかりが取り沙汰されてきたが、終わってみれば今クール放送のドラマの中では最も高い視聴率を維持(第1話より14.2%、14.7%、13.9%、12.3%、13.9%、15.3%、14.5%、15.7%、 14.7%、16.0%と推移していった。これは1月スタートの民放連続ドラマ12作品の中でトップの成績)。
だが数字以上に、本作はSMAP解散後の木村拓哉の役者としての身の振り方を決めた、大きな作品だったといえるだろう。浅野忠信(43)、竹内結子(36)、及川光博(47)、松山ケンイチ(32)、木村文乃(29)などの役者陣が、“主役・キムタク”の“脇を固めた”のではなく、それぞれに見せ場を持ち、ドラマを盛り上げていった。終盤は浅野演じる壮大(マサオ)にスポットライトが当たり、「マサオ劇場」とも呼ばれたほどだ。
従来の木村拓哉主演ドラマは通称「キムタクドラマ」で、どんな職種を演じても「キムタク」でしかない、と揶揄されてきた。唯一無二のスーパースター・キムタクがひたすらカッコよく恋愛に奔走したり、その特別な手腕を発揮して難題を解決したり、ここ一番の大勝負をキメるなどしてドラマはバシッとエンディングを迎える。それがこれまでの「キムタクドラマ」の定番だった。だが、『A LIFE』は違った。
設定こそ、木村はシアトルで多くの手術を経験した超凄腕の外科医・沖田一光という役柄。型破りな性格で、患者のためなら日本の医療界のタブーも簡単に破ってしまう言わばヒーローのような存在! かと思いきや……思慮深く、寡黙な努力家で、決して華のある存在としては描かれていなかったのだ。
1 2