ちょっと恥ずかしい話。
私、実は………
女なのに、女性の裸に興奮してオナニーをするんです………。
私は物心がついた頃から、オナニーのオカズはもっぱら「女性の裸」だった。男性の裸なんて、普通の週刊誌のグラビアに、ないし。
父が愛読していた週刊誌のグラビアページをかざる美女の水着姿や裸に興奮して見ながらコソコソオナニーしていた幼少期。
また、父が隠しもっていた宝(エロ本・エロビデオやDVD)をあさってはオカズにしてこっそりオナニーしていた思春期。
振り返ると、私がオカズにして興奮していたのは主に綺麗な女性の裸だった。
しかし、実際銭湯に行って女性の裸を見ても全く興奮しない。それなのに、アダルト動画は完全に男性目線で女優さんの裸に興奮してしまう。挿れてるシーンなんかは、自分も男性になって挿れてる錯覚、いや想像をして興奮するしフェラチオシーンに関しても同じように自分が男性になった気持ちで興奮している。
逆に、めっちゃヨガッてる女優さんに感情移入して気持ちよくなる女性ユーザーさんもいるだろうけど。
私は現実では、イケメンが大好きなのに女性専用のイケメン男優が出演するようなアダルト動画は一切見ない。やっぱりアダルト動画は、綺麗な女性の裸がメインな演出でないと興奮しないのだ。
私は自分がおかしいのだとずっと思っていた。
ノンケなのに、女性の裸や悶え喘ぐ姿に興奮してオナるなんて。
現実では男性のちんこが大好きで(今は彼氏限定)、性の対象は男性だけなのに、なぜオナニーをする時は女優さんをオカズにするのか? というのがおかしくてたまらないのだ。
実は見えないちんこが自分にはついているのだろうか?
バイセクシャルなのかもしれない、そう思った時期もあった。
しかし、それは違うと確証する出来事が数年前あったのだ。
場所は観光で訪れたデンマークにて。
私は、友人と一緒にデンマークにある某大学のパーティーに招待されてその夜かなり泥酔してしまった。
そして酔っ払った私は、気がつくと見知らぬデンマーク美女と大学内の人気のない場所にある階段の陰に隠れて激しくキスをしていたのだ。
この時まで、私はずっと自分がバイセクシャルかもしれないと信じていた。
しかし……。
デンマーク美女とキスをしながらお互いの胸を触りあったあとヒートアップして美女のまんこに手を伸ばした瞬間だった。
瞬間的に悟った。
まんこ………無理だ………。
自分にもついているまんこ。
まんこには全く興味がわかないというか、アダルト動画をみている時はモザイクごしに女優のまんこに興奮するのに、現実となると…………
触れたくないし別に見たくもない。
汚らわしいとかそういう意味ではなくただ単に、興味もわかないし他人のまんこの聖域に踏み入れる気にはなれなかったのだ。
急に我に返り冷静になった私はお酒を飲み過ぎた事に今さら気づき、気持ち悪くなってそトイレにかけこんだ。そして便器に頭を突っ込み吐きまくったのを記憶している。一緒に行った友人が私の背中をさすってくれた。(友人、本当にごめんよ)
友人の証言によると私がいちゃこいていたデンマーク美女はしばらく心配そうに私がトイレで嘔吐している光景を見守っていたらしいが、しばらくすると無言で去っていったという。
彼女には本当に申し訳ないことをした。
あのデンマーク美女はレズかバイだった可能性もある。しかし私はバイではなかったのだ。
性の対象は男性だけだったのだ。
それなのに、今現在も私はAV女優の裸をおかずにしてオナニーをする。
なんでだろう。
私は、ある日勇気を持って友人にこの事を話した。どういう経緯で話したのかはあまり覚えていないが、多分酔っ払っていたのだと思う。
酔いにまかせて話したことを今振り返って後悔ではなく誇りに思う。
なぜなら友人から返ってきた想像すらしていなかった驚くべき言葉は……
「分かる! 私もめっちゃAVみるけど男性目線で女優の裸に興奮するよ」
まじかー!!!!! なんと、私に賛同してくれたのである。ちなみにこの友人は、男性と結婚して可愛い赤ちゃんまでいる、ごく一般の主婦だ。そして絶世の美女でもある。その彼女にまさか共感してもらえるとは……。
調子に乗った私は別の女友達にも同じように話した。すると、まさかの
「分かるわー。私もエロ動画みるとき、女の子の裸でオナニーするよ。お気に入りのAV女優もいるし。いやー、◯◯◯(お気に入りのAV女優の名前)エロ可愛くて抜けるんだよねー」
という感動的な言葉と一緒にお気に入りのAV女優の名前まで返ってきた。この友人もものすごく美女でイケメンの彼氏もいる。いわゆる美男美女の理想なカップルである。
しかし、ぬ、抜ける……? なんて男らしい響きだろう。(同じ女性なのに)
私も実はお気に入りのAV女優がいる。(誰かは秘密)
わざわざdmmで動画を購入した事も何度もある。
そしてこの記事を書いている最中もなんだかムラムラしてきてしまい、彼氏が横で爆睡している真夜中にこっそりお気に入りのAV女優のエロ動画を開いてオナニーでいってしまう始末だ。実は最近、彼氏が寝ている横でエロ動画を無音でみながらこっそりオナニーをするのが習慣になっている。
彼氏以外の男性をおかずにしているわけではないので罪悪感は一切ない。
しかし、まさか彼も自分が寝ている間、私が何度もオナニーでいっているなんて夢にも思わないだろう。
男性の知らない女のオナニー事情。
実は、(レズでもバイでもない)ストレートな私のような女も、男性のように女性の裸をオカズにしているという事実。
某知恵袋サイトなどで検索しても、沢山ヒットしたこの「レズでもバイでもない女なのにエッチな動画みて女の子の裸に興奮するんです」事情。悩む事なんかないのだ。そんなに珍しい事でもないようなのだから。
と、ここまで書いて気付いた。
友人に聞くまでもなく、私が「女の裸」をオカズにしてオナるのは、たぶん、日本で生まれ育ったアラサー女性としてはわりと普通のことなんだと思う。
そもそも男性が「オカズ」にされるべく撮られたり描かれたりしたエロコンテンツって、BL・ゲイもの以外にはほとんどない。つまり一般的な目に触れる範囲では提示されてない。
いわゆる「エロコンテンツ」は、“女性が”感じてる・恥ずかしがってる・顔を赤らめてる・イヤがってる・イヤよイヤよも好きのうちしてる、ってなモノが大多数だから、私を含め、オナニーするために「エロ」を求める女性の大半がそういうものでヌクことになるのが平常運転なんじゃないだろうか。
特に子供時代に訪れる性の目覚めは、男女問わず「女性の裸」を目にすることで起こっている、と思う。
あらゆる場面で、女性が「性の客体」として描かれてきたことは自明で、エロといえばイコール女の悶える姿。性別を問わずそんな受け止め方をしてしまう素地が醸成されてきたんだろう。
それを「ひどい女性蔑視だ!」という立場には、私はない。ただ、エロコンテンツに「男の裸」や「男が悶える姿」も当たり前に加われば、それに興奮してサクッとヌケる世代も出てくるだろうなあ。あるいは、エロコンテンツから上記のような「女が~」の描写が排除されたり、暴力性の強いものが「エロとは別もの」として分けられたりすれば、個々人が持つ「エロ」の文脈も変わっていくのかもしれない。