昔からリア充御用達のセンセーショナルな男性誌でも、おじさんたちが愛読する週刊誌でも、多少ニュアンスは違えど「女をすぐに落とす方法」や「即マンの極意」のような特集が組まれていたりする。女性誌に比べると、そういった情報が載っている割合が高いように思う。こういった風潮も手伝って、「男はセックスのことしか考えてない」とか「男は下半身でものを考える」とか言われたりするが、それは当然全ての男性に当てはまるわけではない。「男はヤリたい生き物」という先入観に非常に迷惑している男性もいるのだ。
私の友人にTくんという27歳の男性がいる。182cmと高身長の彼は、斎藤工をややたれ目気味にしてもう少し細面にした感じの甘いマスクを持っており、気取らず穏やかな性格も手伝って当然女性たちにモテる。現在彼女募集中という彼だが、出会ったその日にセックスしようとするヤリマン女性たちから、ひどい迷惑を被っているという。
彼は、ワンナイトラブが生理的に無理らしい。ワンナイトラブOKな女性とは絶対に付き合えないし、ちんこが悲鳴をあげそうなくらい性欲がたまっていて、絶世の美女が全裸で「い・れ・て♡」と言っていたとしても、それだけはしたくないんだそうだ。
彼女が欲しいTくんは、ここ半年ほど積極的に合コンに出かけていた。そこで知り合った同い年の女性と同じ沿線沿いに住んでいることがわかり、合コンがお開きになった後、一緒に電車に乗ることになったそうだ。その女性に対してTくんは「いい子そうだな」、と好印象を持っていたという。少し混雑している電車に乗り込み、先にTくんの最寄り駅に着いた。電車に乗る前に彼女と連絡先を交換していたTくんは、「じゃあ、また飲もうね。メールするよ」と電車から降りようとした。その瞬間「待って!」と彼女がTくんの腕を引っ張った。驚きながらも「何?」と聞くTくんに対しその女性は「もう少し一緒にいて……」と言ったそうだ。女性にこんなことを言われたら、「おっ、もしかしていけるんか?」と思いがけないワンナイトラブに期待を寄せてしまう男性もいるだろう。しかし、Tくんはアンチ・ワンナイトラブ派だ。「ごめん、今日は帰るね」と優しく断っているうちに、無情にも電車のドアは閉まってしまった。
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