みんな……昨秋に書いた「彼氏と別れた悲しいお話」を覚えてくれているかキュウ? 実はあたし、いまだにその元カレのことを引きずっているキュウ~。10月に別れたのに年を越してからも未だに元カレの名前でサーチしているキュウ。
別れの詳細は過去の記事を読んでキュウ……。
【しQちゃん、DV遍歴告白! 命がけで奴隷になっていたキュウ…】
【同棲を望んだ彼氏と破局…しQちゃん、悲しき恋のゆくえ】
でももう、自分の気持ちに決着をつけるキュウ! こうなったら元カレについて暴露してやるキュウ!あたしにできるのはペンで戦うことのみキュウ!
元カレと付き合っていた当時、同棲しようという流れになり、物件もほぼ決まりかけた頃、相手の母親、つまり義母にご挨拶してきたキュウ。あたしはご挨拶する際に手ぶらでは失礼だと思って、資生堂パーラーで小さいのに1,500円もする高いパウンドケーキを買ったキュウ。意外と常識ある子宮なんだキュウ~! その時に元カレがチョコレートを物欲しそうに見ていたから、それも買ってあげたキュウ。これも小さいのに700円くらいしたキュウ。あたし自身は資生堂パーラーのお菓子を一度も食べたことがないのに……。どんな味がするのか知りたいキュウ。
その後に喫茶店で義母とのご挨拶に挑んだキュウ。あたしはそれまでの人生で義母に正式にご挨拶などしてもらえたことがなかったから、どんな服装をすればいいかわからなかったキュウ~。元カレにどんな服装と髪型とメイクをすればいいのか教えてもらって、その通りの格好をして行ったキュウ。事前に義母とどんなお話しをすればいいのかも聞いたキュウ。彼女として紹介するから、込み入ったことは話さず、義母の喜ぶ話題を振るようにとのご指導を受けたキュウ。
義母は現役のピアノ講師キュウ。しかも、小さな子供の習い事の先生も兼業しているそうだキュウ。趣味は海外旅行キュウ。あたしと全く正反対の人間キュウ~。しQはピアノは猫踏んじゃったしか弾けないし、子供は苦手だし、海外旅行はインドとかタイとかアジアが好きキュウ~。義母が行く国は主にヨーロッパで、一番のお気に入りはアイスランドだそうキュウ。ふかわりょうの『風とマシュマロの国』(幻戯書房)を読んでおくべきだったキュウ~。この義母とのご対面、最初からうまくいく気がしなかったキュウ~。
義母は息子を愛しすぎているキュウ?
ついに運命の日。あたしは義母の指定してきた喫茶店に元カレと行ったキュウ。元カレはお母様のイタリア旅行のお土産のTシャツを着てきたキュウ。このイタリア土産のTシャツ、デートの時も結構よく着ていたキュウ。30過ぎて母親の選んだ服を着ることができるってなんか凄いキュウ……。
テーブルについて資生堂パーラーのお菓子を渡して自己紹介したキュウ。
「しQちゃんといいますキュウ。息子さんとお付き合いさせていただいておりますキュウ」
義母は
「あら、ご丁寧にありがとう」
と言ってお菓子をバッグに入れたキュウ。その時、元カレもお菓子を渡していたキュウ……って、キュキュッ!? 元カレは、あたしが資生堂パーラーで買ってあげたチョコレートを渡していたキュウ! あたしが買った物を自分が買った物のように渡していたキュウ。まあ、でもここは大目にみるキュウ……。
そういえばあたし、少し前の義母の誕生日にも、プレゼントを元カレ経由で渡していたキュウ。張り子の置物キュウ。お年を召しているから縁起物とか喜ぶかしら、と思って差し上げたキュウ。でも、今回そのことはガン無視キュウ。一言、「誕生日プレゼントありがとうね」の言葉をいただきたかったキュウ。地味に傷ついたキュウ。
喫茶店では一番安いメニューを頼んだキュウ。義母はまず
「お仕事は何をしてらっしゃるの?」
と聞いてきたキュウ。バイトで生活費を稼いでいるけど、アルバイトですって言えなくて
「非常勤雇用で働いていますキュウ」
と言ったキュウ。漢字にすると立派なお仕事に思えるから凄いキュウ。カタカナの仕事に憧れる奴らもいるけれど、安定を示したかったら漢字キュウ!
義母はまだ現役で働いているだけあってシャキシャキしているキュウ。職業婦人は強いキュウ。手に職をつけるのに苦労したのと、それに伴うプライドが強いキュウ。この世代で手に職を持っている女の人は男に頼らずに生きていく術を身につけた女キュウ。あたしは低学歴でアルバイトキュウ。こんな女に勝てるわけないキュウ~!!!!
義母の仕事がピアノ講師だという流れで、ピアノが弾けるかどうか聞かれたので正直に猫踏んじゃったしか弾けないと言ったキュウ。うう、好感度下がったキュウ。
挽回しようと、義母の好きな海外旅行の話を振ったキュウ。
「どこの国が好きですかキュウ」
義母はアイスランドのオーロラの話を始めたキュウ。ぶっちゃけ興味がないキュウ。私はインドとかタイとかインドネシアとか暑くて貧困に喘いでいる国が好きキュウ。そういう国のほうが楽しいし、その国の人と話したりするほうが面白いキュウ~。
あたしはこの時、初めて元カレが母親と話す姿を見たキュウ。一見普通に会話しているように見えたけど、よく見るとなんだかおかしいキュウ。義母は息子にピアノを習わせていたキュウけど、自分の教室ではなく、なぜか他のところで習わせていたそうだキュウ。義母が息子に向かって
「ピアノ習っておいて良かったでしょう?」
とあらためて聞いたら、元カレはいきなり、それまでよりも数段低いトーンの声になり、
「職場で誕生日の方のためにピアノを弾く時があるので、職場では重宝されています。ピアノが弾ける人は職場で自分しかいないので……」
と答えていたキュウ。なんか、目の前で圧迫面接が始まったように見えたんだキュウ……。
あたしは音楽のことはさっぱりわからないけれど、きっと元カレが自分の母親じゃない教室でピアノを習わされていたのは、「すごく良い先生(=グレードの高い先生)がいるのよ」ということだったんだと思うキュウ。つまり、教養や趣味の一環としてではなく、“ガチ”でピアノを教え込まれたということキュウ。そんなふうに子供の頃から音楽に真剣に取り組まされた人が、音楽と全く関係のない仕事に就くのは、きっとやりきれない気持ちがあると思うキュウ。この親子関係、あたしには踏み込めない深い何かがあるキュウ。
小一時間ほど話して、ご挨拶は終了したキュウ。その後は元カレとブックオフへ行ったりゲーセンで遊んだりしたキュウ。あー楽しかったキュウ~。
その次の日、改めて物件を見に行ったら、二人とも気に入った物件があったので仮契約をしたキュウ。
しかし、事件はその夜に起こったキュウ……。義母が
「まだ、娘さんのお母様にもご挨拶に行ってないし、同棲するには早すぎる!」
と、同棲を反対したんだキュウ! 保証人は元カレの提案により、義母になってもらう予定だったキュウ。同棲を進めていることは義母へご挨拶をする前から元カレ経由で伝えてもらっていたし、交際にも肯定的と言っていたのにも関わらずキュウ。
でも保証人に反対された以上、契約することはできないキュウ。仮契約を取り消し、全て白紙に戻したキュウ……。
義母はあたしに息子を奪われると思ったキュウ? 母親が息子を取られたくないという気持ちだったとしたら、あたしにそれを変えることはできないキュウ。でも、息子は好きな女ができたら母親を振り切って彼女を守ってほしいキュウ。母親の呪縛を解くには、死に物狂いで物理的にも精神的にも逃げ切るしかないキュウ。田房永子さんは『母がしんどい』(新人物往来社)で娘と母親の母子分離を書いたけれど、母子分離は息子と母親のほうが難しいキュウ。テレビで長年、嫁姑のドラマが高視聴率を得るのも、嫁姑の確執に主婦が興味津々になって雑誌やテレビにかじりつくのも、全て男が母親に依存して嫁を大事にしないからキュウ。嫁は自分の家を出て、相手の男の家の家族になるという覚悟を背負っているのに、守ってくれるはずの夫が味方になってくれないのは女の不幸キュウ。
全ての男よ、母親を捨てろキュウ! 愛する女を守れキュウ! 立ち上がれ日本男児キュウ~!!!!!!
■子宮のゆるキャラ(妖精)しQちゃん /アイドルに貢ぐために週5+日払いバイトで馬車馬のように働いているキュウ。生理前は情緒不安定になるけれど、今日も元気に頑張りまシュッサン☆ Twitterアカウント【@sheQchang】
(しQちゃんバナーイラスト おおざわともこ http://ohzawa.blog.fc2.com/ )