ソチオリンピックも閉幕してひと月あまり。でも「真央ちゃんよくがんばった!」「羽生くんかわいい~」なんて、盛り上がった記憶をひきずっている人もいるのでは? しかしそんな平和の祭典のウラで、ロシア近辺では人々の生きる権利が侵されつつあるのです……。
たとえば今年2月に、ソチから約500キロの隣国・ウクライナのクリミア半島へロシア軍が侵攻。ウクライナを実質的な支配下に置こうとする動きが出ています。そして昨年6月にはロシア国内で、「反同性愛法」という法律が作られました。
これは「伝統的な家族関係を否定する情報から未成年者を保護するために、18歳未満の者に対する同性愛の助長にかかわった場合、罰金刑に処す」というものだけど、元々ロシアは同性愛に寛容ではない風潮が強かったため、これを機に同性愛者への嫌がらせがヒートアップ。昨年7月には、10代のゲイの少年がネオナチグループから暴行を受けて死亡するなど、命まで狙われる事件が起きています
またこの法律は、人々が集まる場所で同性愛に対して肯定的な話題を出すこともNGとしているので、LGBT(レスビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの略)絡みの集会に参加しただけ、LGBTを象徴するレインボーの旗を掲げただけで警察に身柄を拘束された、なんて報道も。さらにさらに! この法律はロシア国籍者以外にも適用されるので、旅行したロシア人以外のLGBTにも、身の危険が及ぶ可能性があるのです。ノー!
「一体これのどこが平和だ!」
と言ったかどうかは知らないけど、アメリカのオバマ大統領やイギリスのキャメロン首相など欧米諸国の首脳は、こぞってオリンピック開会式への出席をボイコット(日本の安倍晋三首相は行ったようですが)。またバスボムでおなじみイギリスのコスメメーカー「LUSH」も昨年、「LGBTのシンボルであるピンクの△を顔や腕などに書き、FacebookやTwitterなどに投稿しよう」と、反同性愛法反対への意思表示を呼びかけました。
一方、日本といえばオリンピック開会式には参加し、今年秋にはプーチン大統領と会談する予定の首相がいる状況。でも、それでも麻布のロシア大使館前でレインボーフラッグを掲げるなど、抗議する人たちも現れました。世界の多くの人がこの法律の不当さを、ロシアに向けて訴えて始めているようです。
しかし! 今度はアフリカのウガンダでも、2月に首相が同性愛行為を取り締まる法案にサインしました。なんでもムセベニ大統領は最初のうちは反対していたけれど、専門家から「同性愛は生まれつきではなく、異常行動だ」と言われて、法案に賛成したのだとか。
アフリカはHIV感染者率が高い地域で、HIVウィルスは同性同士のセックスからうつる可能性が高いのは事実。だけど「異常行動」として個人の性的嗜好を国が取り締まるなんて、一体どんな独裁政権だよ! これにはアメリカのケリー国務長官も「失望した」と語ったようですが、ロシアと違ってウガンダって遠いし、日本人はあんまりピンとこないかも……? と思っていたら! 東京・代官山のウガンダ大使館前でも、抗議活動が行われていました。日本で初めてゲイをカミングアウトした議員・石川大我豊島区議会議員も駆けつけたこのアクションを、次回はご紹介します!
(文=久保樹りん)