インタビュー

aikoの抱える悲壮感に胸を焦がす、aiko好き男子の心理

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aiko

aiko『泡のような愛だった』ポニーキャニオン

aiko好き男子という衝撃

 10年ぐらい前から、失恋に直面するとaikoを聴きたくなる。aikoは今年デビュー16年めで、彼女が「おやすみなさい」「今度までには」「アンドロメダ」をリリースした2001~03年あたりを境に、“失恋=aikoを聴く、そしてカラオケで歌う”マイルールが自動的にできた。そして先日、ついに初めてaikoのライブに行った。aiko好きな友人はいないので、ひとりで。

 2014年6月29日、東京NHKホール。全国をまわるライブツアーの3日めだった。ナマaikoはsoキュート、歌声はまさにキャラメルボイスそのうえパワフル、とても楽しいひとときだった――と言いたいけれど、男子・女子・既婚・未婚・それ以外の人すべてのファンが高揚した一体感を味わう中、いまいち乗り切れず私はずっと座っていた。男性ファンやカップルの姿が想像以上に多くて面食らったことが、理由のひとつだった。これまで身の回りで出くわさなかっただけで、実は“aiko好き男子”というのはこれほど存在しているのかと。それは驚きと同時に希望でもあった。「恋愛ばっかりしててもいいのかもー!」という……。

 それまで私は、aikoの歌のどこにも「男性に支持される要素」はないと思っていた。だってそうでしょう。大変失礼ながら、aiko好きというと「恋愛ばっかりしている(低能な)女」のイメージがある。大前提として「恋愛=低能」という歪んだ認識を内面化しているわけだが、その是非はさておき。で、自分はそれにばっちり当てはまるけれど、じゃあaikoの歌詞やメロディやルックスを好む男性というのは「恋愛ばっかりしている(低能な)女」そのものもアリなのか?

 そしてもうひとつ。女性→男性への恋や愛を綴った歌がほとんどなので当然ではあるが、MCでも「恋愛して当たり前だ」「男と女は惹かれあうものだ」「彼氏・彼女がいないよりもいる方が良い」と信じて疑わないような空気が会場全体に流れていて、それをまとめて私は「結構なホモソーシャル感」と受け取めた。これもまた、他の観客のように立ち上がって乗れなかったひとつの要因だったと思う。

 行きたくて行ったライブだったのに、モヤッとした気持ちを抱えて帰路に着いた。これはaikoに失礼だ、という罪悪感すらあった。そんな折、「aikoの魅力が分からないんです/武田砂鉄」というコラムを拝読。ここに登場する「aiko好き編集者(ドログバ似の男性)」に、話を聞きたいと思い立ち連絡をとってみた。cakes編集部の大熊信さん(34)だ。

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