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「フェミ」とは女が男を怒る思想ではないですよ

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『女のからだ――フェミニズム以後』岩波書店

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SNS上にあふれるフェミの怒り

 TwitterのようなSNSが世の中に広まってからというもの、自分の政治信条や信仰などに関わらず、だれかの意見や主張があたかも「勝手に目に入ってくる」ような事態が増えているように思います。むろん、インターネット広告なんかは自身の閲覧履歴によって表示内容が左右されますしSNSでは自ら選択してつながっている誰かの意見や、その誰かが広めようとして別の誰かの発言を目にしているわけですから、一方的に「勝手に目に入ってくる」わけではないのですが、それはさておき。それまで関心がなかった分野にも、こうしたSNSでの出会いがきっかけとなって関心を持ちはじめたという経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。私にとってはフェミニズムへの関心はほとんどTwitterがはじまりでした。

 Twitter上で私は、フェミニズム的な「怒りの声」あるいは「抗議の声」を頻繁に目にします。いくつか最近の具体的な事例をあげれば【messy】も大きくコミットしている「女性器3Dデータ事件」に対して「女性器を猥せつ物扱いするのはおかしい」という声が挙がりましたし、「男性にコンドーム着用を義務的に押し付けるのはおかしい。女性もピルを飲まないとフェアじゃない」という誰かの発言に対して「ピルには副作用がある。男性から強要されるものではない」、「ピルでは性病が防げないだろ」という抗議の声が寄せられていたのを記憶しています。

フェミはヒステリックという無理解

 もちろん、つぶやきを投稿しているご本人が「フェミニストである」という自認を持っているかどうかはわかりません。しかし、こうした怒りの声は「フェミの声」として受容され、ときに「ヒステリックな反応」としても受け取られているのは確かでしょう。そして、「またバカなフェミが怒っているよ」、「女はすぐ感情的になるから議論ができない」……などとアンチフェミ層が否定的な反応を示し、新たな怒りを生む負のループ。

 「フェミの声はヒステリック」という反応には、今なお一般的に「日本のフェミニストの代表」として(上野千鶴子以上に)田嶋陽子(と『TVタックル』)のイメージが強く残っていることがあるかもしれません……が、そもそもフェミニストがなにに抗議し、なにに怒っているのかが理解されていないことに要因があると思います。「フェミニストは男性に怒っている」という理解では一生「怒られている側の人たち」とフェミニストのあいだにある溝は埋まりません。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra

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