カルチャー

興業順調でも明らかな駄作、青春の輝きをまったく描けなかった『ホットロード』

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『ホットロード』公式HPより

『ホットロード』公式HPより

『ホットロード』 三木孝浩監督

 1986年から翌年まで「別冊マーガレット」(集英社)で連載され、以来若者の心をつかみ続けている伝説的少女マンガ『ホットロード』(紡木たく)の映画化である。

 現在35歳のわたしはこのマンガをリアルタイムで読んでいたわけではないが、10代の頃、姉が買ったのだろう単行本を何気なく読み、そこに描かれている暴走族やヤンキーたちの文化は既に時代遅れだと思いつつも、それらのディテイールを通して伝わる「青春」の空気に、素直に感動したものである。

 そういうマンガを映画化するということ、一見ダサい世界を「今」の映画にするとどうなるのか?

結論=マンガ読んでりゃいい

 母子家庭で親の愛情に飢えている少女・和希(能年玲奈)と、暴走族で危険な行為を繰り返す不良少年・ハルヤマ(登坂広臣/三代目J Soul Brothers)が、お互いの孤独に引き寄せられ惹かれ合い、それが正しい道なのか間違っているのかもわからぬまま、若さに任せて突き進む。

 女子中学生のスカートがロンタイだったり、携帯電話が出てこなかったりすることから、映画の時代設定はマンガと同じ1980年代を再現したのだろう。現代の横浜の族事情はわからないが、族同士のタイマンなんかも最近じゃ少ないだろうし、この映画の中に出てくるだいたいのことは2014年の十代の少年少女にとっては古くさい。しかしそれはマンガについて述べたことと同様、キスもセックスも出てこなくても、ロンタイを履いてバイクをノーヘルで2ケツする画面から、ふたりの「今」を感じられれば、それがいつの時代の話であろうと、観客には関係ないのだ。

 だがこの映画の最大の失敗(というか、映画にすらなっていないので失敗以前の問題だとわたしは思う)は、ただ、『ホットロード』という名作少女マンガの絵やセリフを、原作に忠実に「映像化」しただけのものになっていることだ(しかも細部までかなり正確に忠実に)。

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gojo

1979年生まれ大阪出身、立教大学社会学部社会学科卒。2005年より自身のサイト「gojo」にて映画日記を執筆、2010年には蓮實重彦、黒沢清『東京から 現代アメリカ映画談議』(青土社)の出版記念トークイベントにてインタビュアーをつとめた。「森﨑東党宣言!」(インスクリプト)に寄稿。gojogojo.comで映画日記を更新中。

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