日常に「性欲」はない
須藤伸一さん(仮名)
年齢:37歳。結婚生活9年
家族構成:妻(36歳)、子(2歳半)
自宅間取り:3LDK(マンション/結婚後に購入)
経歴:大学卒業後に一般企業へ就職。その後、二度ほど転職して現在はメーカー営業職。
容姿や雰囲気から、バナナマンの設楽統さんを想起させる須藤さん。オーラは優しげです。
――奥様が27歳、須藤さんが28歳の時にご結婚されているんですね。何年くらい付き合って、結婚したんですか?
須「僕が20歳の時からだから、7~8年くらい」
――それって奥様が19歳くらいってことですよね。もしかしてお互いにとって初めてちゃんと付き合った人かもしれない?
須「ではない」
――お互い?
須「お互い。あと、その7~8年間、ずっと付き合ってたわけではなかった。付き合って別れて、付き合って別れて、って繰り返して」
――最後は結婚に至った?
須「そういう感じですね」
――きっかけは?
須「どちらも社会人になって数年経ったので一緒に暮らそう、ってなったんです。まあ、その方が家賃安いじゃないですか。そしたら、両方の親が『一緒に住むなら結婚しなさい!』と口を出してきたので、じゃあしようか、となりました」
――順番としては、「一緒に住む」って決めて、賃貸物件で同棲をスタートしつつ結婚準備を進めて、入籍して、結婚式を挙げて、家を買って、そして子供ができて。この流れでした?
須「そうですね。子供ができたのは結婚して7年ほど経ってからでしたけど」
――結婚してから数年は、コンドームをつけたりピルを飲むなど避妊したうえでセックスしていたんですか?
須「うーん、あんまりセックス自体してなかったんですよね。そもそも最初、結婚することを決めた時に、嫁が『子供は欲しくない』と言っていて、僕もそれを了解していたんですよ。でも彼女の同年代の友達に子供ができ始めてからやっぱり欲しくなったみたいで、『年齢的にも30超えてるからそろそろ産まなきゃ』って言い始めて、それから生理周期をつけたり排卵検査薬みたいなものを買ってきて、子作りセックスをしました。ホントに、セックスっていうよりも子作りって感じ」
――結婚した当初は、すでにセックスレスだったということでしょうか?
須「そう言えるかもしれないですね」
――20歳と19歳で付き合いだした当時は、猿のようにしていたのでは?
須「うん。高校生~大学卒業するくらいまでは、頭の中にそういうことしかなかったと思います。誰でもいいから誰かとヤりたい、みたいな。多分、僕の性欲は社会人になってから変わったんだと思います。新卒で入った会社が結構ブラックなところで、恋愛を楽しむ余裕なんてなくて、夜中に帰って寝て起きて仕事行くだけの日々で」
――性欲がどんどん減退していった?
須「すべての欲がなかったですね(笑)」
――その後、転職して生活に時間や経済的な余裕ができても、性欲は戻らなかったのですか。
須「そうですね。10代~20歳くらいの時のようには、ならなかったですね」
――奥様もそうなんでしょうか。というのはつまり、奥様も性欲が湧かないのかどうか、という。
須「わかんない。どうなんですかね? 前に誘ったときに『ヤダ』って断られてから、もう誘わなくなっちゃったし。実際、今でも僕は一年に1~2回くらいは猛烈にそういう気分になる時があるんですけど、したいって気持ち以上に嫁に『頼む』とか『誘う』とかが億劫なので、しようとは思わないです。『ヤダ』って言われたらこっちも嫌だし。断られたくないから誘わないっていうのもあるかもしれないですね。でもそれはしょうがないし、嫌なら嫌でいいや。無理にしようとしてもしょうがないじゃないですか。年に1~2回あるかないか程度のことで、わざわざ嫌な思いしたくない」
――夫婦として共同生活を営むにあたって、そこにセックスがなくてもいいやってことですか?
須「子供がいるからだと思う。夫婦だけだったらそうもいかないかもしれないけど」
――夫婦だけだったら、「何でセックスもしないのに一緒にいるんだろう」みたいな?
須「うーん、僕と嫁の場合は、最初からそこまでセックスが重要じゃないけど……わからないです。喧嘩した時にセックスで仲直りをするカップルってあると思うんですけど、うちの場合は仲直りのきっかけはもう子供なんですよ。夫婦が険悪な感じになっていると、子供に仲裁されるんです。そうすると、二人とも『喧嘩なんてしてたら子供が可哀相だ!』ってハッとして仲直りしますね」
――それが「子はかすがい」ってことなんですかねー。