驚くことにルミ子は60歳を過ぎた今も、53~5cmというウエストをザ・キープ! ある歌番組では、フランス婚の本家、夏木ジビエ・ド・マリに一歩も引くことなく、並んで「LA・LA・LA LOVE SONG」をファンキーに歌いきり、さらにさんまのかえ歌歌謡祭で「お独り様ね」という自虐ネタを真顔で歌い踊る姿には笑いを通り越して神々しささえ漂うほど。まさに「芸能人としてうまれて生きて」を地でいく有り様(よう)。
宝塚を予科・本科とも首席で卒業し、デビュー曲がレコ大最優秀新人賞受賞、18年間連続紅白出場。当時、泣く子も黙るナベプロの力があったとはいえ、実はかなりの偉業を成し遂げているルミ子。当時の歌唱映像を今見ても、うまい、美しい、いかにも男に好かれそう。美人なのに努力家。近年では、肋骨骨折しながらテレビの歌謡ショーで歌いきり、あの苦労人のラスボス幸子に「ルミちゃんのプロ根性には脱帽した」と言わしめました。
ルミ子、一日にして成らず。いろんなルミ子がいてのルミ子。ルミ子の女力は、意外にも努力力。そしてその賜がウエスト力に。もし、ルミ子のような女が、たまたま隣に座っていたら、殿方は見る。そして自信のある殿方ほど口説く気がする。赤い口紅と「あっは~」という笑い声がこんなに似合う女はいない(次点:昔の今井美樹)。ルミ子がいるだけで場が華やぐ。場が華やぐ女を嫌う女はいても、嫌う男はいない、と思う。
女力に対して嫁力という言葉があるなら、今のところ私の中の嫁力No.1は北斗晶さん(なぜかさんづけ)なのだが、もし『白蛇抄』の主演が北斗さんだったら、夏八木勲も指をあんなに大胆に舐めることは不可能だったはず。少々、話がそれてきた気もするが、女力と嫁力をイコールにしようとすると、無理が生じる。中年前後にたいていの女はルミ子か北斗かという大きな舵の選択を迫られる。そして、思い切って大きく舵をとったものだけが、結局、いい女としても生き残れる。北斗(さん)は北斗(さん)で、十分いい女だと思うし。
次回の、昭和の女力は、なおはんです。
■阿久真子/脚本家。2013年「八月の青」で、SOD大賞脚本家賞受賞。他に「Black coffee」「よしもと商店街」など。好きな漢は土方歳三。休日の殆どを新撰組関連に費やしている。
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