先般より、第2次安倍改造内閣の人事に関するニュースが大きく注目されているところです。【messy】的には「『女性活躍担当大臣』ってなにするの?」等々の矛盾をとりあげるべきかもしれませんが、私は法務大臣に就任した松島みどり衆議院議員が記者会見で、いの一番に「性犯罪の刑罰見直し」について発言したことに驚きました。
曰く「刑法の中で物を取る(=窃盗、強盗など)より性犯罪の方が軽く扱われている」と。事実、刑法上では強姦致死傷罪は「無期または5年以上の懲役」なのに対して、強盗致傷罪は「無期または6年以上の懲役」となっており、「魂の殺人」とも言われる強姦のほうが軽い扱いになっています。松島法相は、これを絶対に逆転させたい、と語ったそうです。
その後、ネット上では早速、松島法相のかつての国会発言が掘り起こされ騒動になりました。焦点があてられたのは2005年の国会法務委員会での発言。松島法相は「犯罪者の人権などというのは二の次」、「(性犯罪を行った凶悪犯罪者は)小学生の女の子たちがプールで水着姿で遊んでいる映像か何かを見せて、変な反応を示さないかどうかなどというのをうそ発見器みたいな形のイメージで点検して、これは真っ当になったと思ったら(刑務所から出所させる仕組みを作るべきだ)」と、やや極端な主張を展開しており、確かに問題発言と見られても仕方ありません。
ただ当時の松島法相自身も「全然素人ですからわかりません」とエクスキューズした上での発言であり、現在はしっかり勉強されたうえで「性犯罪の刑罰見直し」に意欲を示しているのかもしれません。とはいえ、上記の発言は松島法相が推定無罪の現状を無視していると同時に、性犯罪事件についてあまりに無知であることを明らかにしており見過ごせないものです。端的に言えば「そこじゃない、そこじゃないよー」という感じ(加害者側の人権を蔑ろにし、厳罰化の極論を述べれば、世論の反発を食らうだけだということくらい、誰だってわかりそうなものですが……)。
社会学・ジェンダー研究者の牧野雅子による『刑事司法とジェンダー』(インパクト出版会)を参照すると、松島法相の発言内容のどこがどう問題なのかが明確になります。