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『ときメモ』が色濃く反映する日本人の恋愛倫理観

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柴田英里

(C)柴田英里

 『ときめきメモリアル』(以後ときメモ)。それはギャルゲー、そして乙女ゲーの元祖にして、恋愛シミュレーションゲームというジャンルを未だ強く牽引する一大シリーズである。

 そしてそのシステムは、無条件に周りからモテまくる昨今のエロゲーやラノベ(メディアファクトリー文庫が顕著です)とは一線を画す厳しいものだ。『ときメモ』上では、主人公の学力・運動能力・才能・容姿などというステータスを徹底的に上げることがすなわちモテであるという。ある意味現実以上に明確にシビアな格差を強いられるものだ。

 RPGなどの醍醐味の一つに、低いレベルの段階でも戦略によって高いレベルの敵をじわじわ倒す、という楽しみ方があるが、ここにはそうしたものはなく、ひたすらレベルを上げる必要だけがある。「学問に王道なし」ならぬ、「ステータス上げにチートなし。」だ。

 もう一つ、恋愛シミュレーションゲームには大きな特徴がある、それは箇条書きされた各キャラクターの特徴が、そのキャラの人物像すべてを物語るということだ。プレイヤーがあらかじめ予測出来る範疇でしか、キャラクターは変化しない。つまり、すでに判りきったイメージを攻略する、シミュレーションの焼き直しをしていくことなのだ。

 また、このシリーズには男性キャラが女性キャラを攻略する『ときメモ』、女性キャラが男性キャラを攻略する『ときめきメモリアルGirls Side』(以後GSと表記)ともに、シリーズ通してハーレムエンドや同性との恋愛はない。一対一の異性愛のみが、目指すべきゴールである。

 徹底的なエリート成果主義と保守的な恋愛観による性差ファンタジーが描かれる『ときメモ』や『GS』が、恋愛シミュレーションというジャンルで最も売れたシリーズであるというのは、日本の恋愛倫理・道徳観念をまさに象徴しているのかもしれない。

 今回は『ときメモ』および『GS』シリーズのキャラクター造形を通して、日本の恋愛シミュレーションゲームにおけるジェンダーを考えてみようと思う。

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柴田英里

現代美術作家、文筆家。彫刻史において蔑ろにされてきた装飾性と、彫刻身体の攪乱と拡張をメインテーマに活動しています。Book Newsサイトにて『ケンタッキー・フランケンシュタイン博士の戦闘美少女研究室』を不定期で連載中。好きな肉は牛と馬、好きなエナジードリンクはオロナミンCとレッドブルです。現在、様々なマイノリティーの為のアートイベント「マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー(MAPA)」の映像・記録誌をつくるためにCAMPFIREにてクラウドファンディングを実施中。

@erishibata

「マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー(MAPA)」

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