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韓国でもセクハラへの意識が高まる。怒る女性と、戦々恐々とする男性たち

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変化を求められている韓国男性。 Photo by Mark Liddell from Flickr

 韓国ではsexual harassment=セクハラのことを“ソンフィロン”という。漢字に直すと〈性戯弄〉。性で戯れ弄ぶ悪質な行為、という意味になる。日本では先ごろ橋本聖子女史のキス強要事件や、都議会での「早く結婚しろよ」発言が問題となったが、韓国のセクハラ事情はどうなっているのだろうか。

 近年、韓国で訴訟および告発されたセクハラの内訳(韓国性戯弄予防センター調べ)を見て行くと、約90%が職場での被害に集中しているそう。また、別の調査では女性労働者の約43%が「セクハラを受けたことがある」と回答しており、働く女性たちのほとんどがセクハラに悩まされているという統計結果が出た。

 そのような背景から、近年、韓国の企業はセクハラ予防プログラムを法的に義務付けられることになっている。今年9月に韓国・雇用労働部が配布した冊子には、プログラムを実施しない企業には約30万円以下の罰金、セクハラが発生した場合は企業が50万円以下の罰金を払わなければならないと明記されている。さらに、経営者が直接セクハラし、被害者が何かしらの不利益をこうむった場合は、最大で200万円以下の罰金、もしくは3年以下の懲役となるそうだ。

 そのようにセクハラに対して厳罰化が進む韓国にあって今年、ある文化人のセクハラ発言が問題となった。韓国ならでは……と言うべきか、徴兵制と関連したセクハラ発言である。ある雑誌で医師のハン・イクピョン氏が、

「女は国防の義務を負わないので、権利も4分3でいい。ただ、子どもをふたり以上産んだ女性は例外。これは資本主義論理ではなく、計算をしっかりしようということだ」

と持論を展開したのだ。後半部分は少し意味不明で言い訳がましく聞こえるのだが、要は「女性は子どもをたくさん産むことが義務」ということであり、「そうでなければ、徴兵される男性より権利を与えなくていい」ということだろう。どこかの誰かの“産む機械発言”に近い。

なんでもかんでもセクハラに

 韓国では合計特殊出生率が、2012年の段階で1.3人。ハン医師の発言は、こうした〈超少子化〉を念頭においた発言だったのだろうが、当然、韓国の女性たちからの猛抗議が待っていた。ネット掲示板では「じゃあ、兵役逃れしている政治家の息子たちの権利は減らしましょう」「軍人を産むのは女性だから、女性の方が権利は上じゃないかしら」など、非常に冷静で、的を射た反論にさらされてしまった。

 一方、韓国の男性たちは「最近、韓国では何でもセクハラになってしまう……」と、グチをこぼしている。以前雑談を交わしたタクシーの運転手さんは、

「このごろじゃ、寝てしまった女性を揺すって起こすのもセクハラになる。酔っぱらってツブれていたりしたら、警察に通報して対処してもらうんだよ」

とこぼしていた。

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河鐘基

エンターテイメントから政治まで、韓国の社会問題を広範囲に取材。雑誌やウェブ媒体を中心にライター活動を展開中。K-POPも好きだがAKB48の方が好きという、韓流ライターにあるまじき趣味を持つ。さらに正直に言えば、ローラのほうが好き。

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