連載

嘘よりも重い罪の代償~蜜柑の恋 地元編

【この記事のキーワード】
Photo by soleá from Flickr

Photo by soleá from Flickr

【第一回:私はいかにしてビッチになったか
【第二回:彼氏以外の場所を失って。過熱する初恋
【第三回:浮気と暴力と束縛と
【第四回:異常な嫉妬からくるDVで、日常が狂う

アキは私の誕生日に、お揃いのシルバーリングをプレゼントしてくれた。
それからというもの、穏やかで幸せな日々は続いた。私さえ我慢すれば続く幸せだった。

毎日、アキと過ごす。特に何をするわけでなく、ただ同じ空間で時間を過ごす。
友人とは電話やメールでやりとりするものの、内容はアキが毎日チェックする。
しかし、私には外出を禁止しているのに、アキは外へ出かけていくことが増え、私が作る料理を食べることも少なくなった。
不満が溜まる一方だった。

ある日、些細なことでケンカをした。
料理の感想を言ってくれないとか、アキは会社の飲み会にいくのに私はなぜだめなのか、そこで私の肩身が狭くなるとは考えないのか、と私が主張した。
今となってはなんとも小さな内容でしかなかったのだが、日々のイライラが爆発し、私は同じ空間に居ることができなかった。
正直、仕事とスーパーとアキとの時間の往復だけの日々に、10代の私は息がつまりかけていた。

ロクに答えもしないアキの態度に痺れを切らして、思わず家を飛び出した。
10分ほど、住んでいたアパートの屋上に出て深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
そうしてなんとかアキの部屋に戻ろうとすると、玄関ドアには鍵が締められていた。
私は鍵も携帯電話も財布も家の中に置いたまま外に出た。季節は冬。当時私が住んでいた地域は、氷点下になるほどの寒さであった。
どこか暖かいところに入れたらいいけれど、財布も電話もないからどこにも行けない。そして私は未成年。何かあれば親に連絡がいってしまう。

どこにも行けず、誰にも連絡を取れず、ドアを叩きインターホンを鳴らし続けるしかなかった。
それでもアキはドアを開けてくれなかった。

寒さで手足がしびれ、感覚が麻痺する。全身が痛くて、震えて、少しでも暖をとろうとうずくまった。
すぐ近くのコンビニで、雑誌でも立ち読みしながら朝が来るのを待とうか。でも、もしもアキがドアを開けてくれた時に、玄関前に私の姿がなかったら。アキは「反省していない」とかえって激高するだろう。
トイレも我慢し、俗にいう体育座りの姿勢でひたすら自分の吐く息で体温を確かめ続けた。

朝方になると、アキはドアを開けて私の冷たい身体を抱きしめた。
アキは「こんなこと、させないで」と繰り返し、私はアキが作った温かい鍋を食べた。
時計を見ると、鍵を閉められてから5時間は経過していた。
暖かな部屋に入って、私は安堵していた。そして気付いた。

安堵する自分が怖い。アキが怖い。
アキのことが大好きなのに、この関係が怖い。

1 2

アスモデウス蜜柑

好奇心旺盛な自他共に認める色欲の女帝。長年高級クラブに在籍し、様々な人脈を得る。飲み会を頻繁に企画し、様々な男女の架け橋になり人間観察をするのが趣味。そのため老若男女問わず恋愛相談を受けることが多い。趣味は映画鑑賞で週に3本は映画を見る。

[PR]
[PR]

messy新着記事一覧へ

エレンス2001 ツインスキャルプシャンプーEX-2(やわらかい髪用)