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女児アニメの中に、男の娘が当たり前にいるという革命

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(C)柴田英里

(C)柴田英里

 私事ではございますが、この度、女児向けアーケードゲームの『プリパラ』にハマりました。

 『プリキュア』『アイカツ!』『プリリズ』と、女児向けアニメは日々チェックしていたのですが、アーケードゲームは手を出すのを見送っていました。元来の収集癖と、4~5日家から一歩も出ず、寝ないで栄養ドリンクで滋養強壮しながら延々とゲームをやりこむことが好きなゲーム廃人気質ゆえに、ハマったら大変なことになりそうで(主に仕事と生活が……)。

 ですが、アーケード版『プリパラ』のサイリウムチェンジの表現、暗転したステージの中、ネオンカラーに輝く衣服と、縦横無尽にきらめきながら飛び交うコマンド表示、プレイヤーの顔や身体よりも、衣服や飛び交う粒子に重きがおかれる世界観に魅了され、かつ、先週土曜(11月1日)のアニメ放送で、主要キャラクターであるレオナ・ウエストが男であることが判明した(つまり、女児アニメ界に満を持して「男の娘」が登場したのです)ことで熱狂に火がつき、ついに始めてみたら、むちゃくちゃ面白かった次第です。

 少女漫画や女児向けアニメなどでは、『リボンの騎士』のサファイア王女を元祖として、『ベルサイユの薔薇』のオスカル、『少女革命ウテナ』の天上ウテナといった様々な男装の麗人、「男の子」のように振る舞い戦う戦闘美少女たちが活躍してきましたが、「女の子」のように振る舞い、変身したり戦ったりする女装少年(味方・主人公の仲間)は、存在しませんでした。

 放送中の『ハピネスチャージプリキュア』には2014年11月6日現在までで一度だけ、主人公少女たちの敵であるプリキュアハンターファントムが、主人公キュアラブリーとそっくりな姿に変身し、「アンラブリー」として主人公たちに戦いを挑むという話がありましたが、彼の女装はあくまでキュアラブリーという少女を模倣したものであり、好きな服を身にまとったというよりも、キュアラブリーへの精神攻撃を兼ねた女装でしたし、結局アンラブリーはプリキュアの少女たちによって排除されてしまいました。

 プリキュアシリーズに男性はたくさん出てきますが、普段はイケメンで年上のお兄さん然と振る舞っていても、いざとなったら小動物(妖精)に変身してしまい、戦う少女たちの足手まといにすらなる『YES!プリキュア5』『YES!プリキュア5GOGO』のココとナッツをはじめ、味方であっても頼りになりません。『ハピネスチャージプリキュア』でキュアラブリーが恋焦がれている地球の神ブルーは、女の子に気をもたせておいてどっちつかずの態度で傷つけるダメンズ要素の強い男。『ハートキャッチプリキュア』のサバーク博士、『スイートプリキュア』のメフィスト、『ドキドキプリキュア』のキングジコチューにおいては、敵側に洗脳されて実の娘を含む少女たちを苦しめる悪い父親ですらあります。「男」であることや「父」としての自己に苦悩し、プリキュアの、女の、母の愛によって救済されるのを待つだけの男性キャラクターが多く出てくるわけです。

 強く優しく愛と友情と思いやりと母性の力、つまり「協調性」と「女性性」と「母性」と「自己犠牲」で戦う少女たちが活躍する『プリキュアシリーズ』の世界では、「男性性」や「父性」は、「悪いもの」として描かれやすい。もっと言えば、「協調性」と「女性性」と「母性」と「自己犠牲」が尊ばれる世界で、それに身を任せるだけではなく、「男性性」や「父性」を持って生きようとすることは受難以外のなにものでもないのかもしれません。

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柴田英里

現代美術作家、文筆家。彫刻史において蔑ろにされてきた装飾性と、彫刻身体の攪乱と拡張をメインテーマに活動しています。Book Newsサイトにて『ケンタッキー・フランケンシュタイン博士の戦闘美少女研究室』を不定期で連載中。好きな肉は牛と馬、好きなエナジードリンクはオロナミンCとレッドブルです。現在、様々なマイノリティーの為のアートイベント「マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー(MAPA)」の映像・記録誌をつくるためにCAMPFIREにてクラウドファンディングを実施中。

@erishibata

「マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー(MAPA)」

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