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恐妻家強盗vs圧倒的強者・魔女。男たちは逃げ切ることができるか

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『スガラムルディの魔女』公式HPより

『スガラムルディの魔女』公式HPより

『スガラムルディの魔女』 アレックス・デ・ラ・イグレシア監督

 11月22日(土)から公開となる映画『スガラムルディの魔女』を見た人がまず思うことは、「スペインの女ってどんだけ怖いんだ……」だろう。男性なら、「日本に生まれてよかった……」と情けなく胸をなで下ろし、女ならこの爽快感に、「よくやってくれた!」と胸がすくはずだ。

 冒頭から、怪しげな魔女たちが怪しげなやりとりを交わしている。彼女たちが何を企んでいるのかは謎のまま、舞台はスペインの大広場に変わり、大道芸人に扮した男どもが白昼堂々強盗をおっぱじめる。あまりに稚拙な強盗計画はあっさり失敗、大量の警官に追われながら逃走するふたりの男。ひとりは緑色のソルジャーのコスプレ、もうひとりは銀色のキリストのコスプレ、とビジュアルだけでも相当情けないのに、どうやらキリストの方は、離婚した妻に滅多に会わせてもらえない息子との面会日だったのか、子連れ強盗だ。お互いの素性をよく知らないらしい強盗ふたり(三人?)組は運転手を脅しながらタクシーで国境を目指す。

 と、ここまでは、ハリウッドのアクション映画さながら、激しくかっこいい銃撃戦、手に汗握るカーチェイス、と、ドキドキハラハラの展開。スペインの映画ってこんなにゴージャスな娯楽作品だったんだと、感心するほど。

 が、しかし、タクシーに乗り込み、ようやく少し落ち着いた頃から、そんな切迫した状況にも関わらず、彼らの会話は緊迫感ゼロなのだ。ふたりが話すのは妻や彼女への文句ばかりで、ソルジャーは彼女のプレッシャーに耐えきれないだの、キリストは元妻が意地悪過ぎるだの(ふたりとも相手の女がお金に厳し過ぎて強盗を強行するしかなかった模様)。最初は怯えまくっていた運転手も、女への文句で意気投合、強盗の一味に加わる約束まで交わし、映画は、恐妻家たちの愚痴大会へと変貌しだす。

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gojo

1979年生まれ大阪出身、立教大学社会学部社会学科卒。2005年より自身のサイト「gojo」にて映画日記を執筆、2010年には蓮實重彦、黒沢清『東京から 現代アメリカ映画談議』(青土社)の出版記念トークイベントにてインタビュアーをつとめた。「森﨑東党宣言!」(インスクリプト)に寄稿。gojogojo.comで映画日記を更新中。

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