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塀の中の女性たちは“恵まれている”のか?『女子刑務所 知られざる世界』

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 「◯◯女子」というネーミングのヴァリエーションの多さには、そろそろうんざりしている方もいらっしゃると思います。しかし、今年(2014年)は「失職女子」や「貧困女子」といったNOTキラキラ系と言いましょうか、ネガティヴな女子を示した言葉がにわかに脚光を浴びた一年ではなかったでしょうか。

 そんななか、書店をさまよっておりますと『女子刑務所 知られざる世界』(中央公論新社)という書名が私の目に飛び込んできました。私はすっかり「刑務所女子」と誤読してしまい衝撃を受けましたけれど、本書はガチで女子刑務所の現状や問題点などにフォーカスを当てたジャーナリズム系の一冊でした。

年収200万以下の女性と比べて…

 基本的に刑務所での生活や内情って、一般人には縁が遠い話です。むしろ、縁があっては困る。副題にあるとおり、塀のなかは「知られざる世界」でしょう。本書は、統計データや受刑者・刑務官へのインタビューを元に、そうした日の当たらない世界の話を読者に伝えてくれます。

 2011年12月末の時点で日本には62,080名の受刑者がいて、そのうち、4,718名が女性。こうした単純な数字も個人的にはちょっと驚きでした。女性受刑者1人に対して男性受刑者の数は12人にも及びます。男子刑務所は新しく施設が作られ全国の刑務所の収容率は、90%ほどに下がっている一方で、女子刑務所は依然として収容率が高いまま。既存の女子刑務所では収容率が115%以上の状態が続いていると言います。女子刑務所が抱えるこうした過剰収容問題が解決しにくい要因には、男女の受刑者数のアンバランスが関係しているのでしょう。

 6人部屋に8人の女性受刑者がすし詰め状態で布団を並べている。そうした写真からも状況は伺えます。罪を償うための施設ですから「受刑者が快適に暮らせる環境を用意するのはおかしい、すし詰め状態でも文句は言えないはずだ」という声もあるでしょう。しかし、刑務所とは罪を償うための場所でもあるわけです。刑務官たちからはこうした過剰収容が、受刑者のケアや更生に悪影響を及ぼしかねない、という声もあがっています。現状では、刑務官たちの仕事の負荷も高くなり、大変です。

 しかしながら、女子刑務所という環境を『最貧困女子』(幻冬舎)に描かれた極限状態に生きる女性たち(関連記事)はどう思うだろうか、と考えざるを得ませんでした。刑務所は3食付きで、身の安全も確保され、教育の機会まで与えてくれる。ある受刑者は刑務作業のなかでリーダー役を任されて、仕事にやりがいを見出してもいる。そのやりがいが更生のきっかけであり、彼女の将来の希望となっている。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra

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