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夢中で洞窟を掘り、釘が刺された木と会話する俳優・ネイチャー綾野剛

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綾野剛

熊田曜子との思い出は特にないのかしら。(写真集『胎響』ワニブックス)

 7月7日、関東ではどうやら9年ぶりらしい晴れの日の七夕の夜に放送された『情熱大陸』(TBS系)の主役は、ミステリアス俳優としてドラマや映画で大人気の“綾野剛”だった。岐阜県出身の彼は、現在31歳だというが醸し出すアンニュイな雰囲気のせいか実年齢よりも5歳ほど若くも見える。

 昨年放送の朝ドラ『カーネーション』(NHK)の周防龍一役では、出演期間は短かったものの、尾野真千子が演じるヒロイン小原糸子との切なくドラマチックな恋愛模様を鮮烈に演じ、巷で周防さんフィーバーが起きるほどであった。この超人気朝ドラ出演によって、彼の存在は一気にお茶の間に浸透し、綾野剛という名前が全国区となった。

 さらに、今年の新年早々にブームを巻き起こした『最高の離婚』(フジテレビ系)では、浮気性で飄々とした掴みどころのない美大講師を演じ、間髪入れずに次クールの『空飛ぶ広報室』(TBS系)にもメイン出演。ケガのために戦闘機パイロットの夢破れた、いじらしい広報自衛官を子犬のようにキュートに表現し、全くタイプの違う役柄を見事に演じ分けていた。

21世紀の子猫ちゃん

 さまざまなオファーが殺到し、来年までスケジュールは埋まっているという売れっ子・綾野剛。『情熱大陸』では、冒頭から個性的すぎるフード付の黒ブルゾンに黒マスクという明らかに怪しいいでたちで登場した。インナーに赤いカットソーを忍ばせてはいるが、長い足も黒のパンツで包み込み全身真っ黒くろすけ。この物騒な雰囲気、夜中にフラフラと街中を出歩いていたら職務質問されそうですから~!

 番組では、お馴染みの渋い声質のナレーション(窪田等さん)も、この怪しげなセンスに黙っていられず「私服なのに、この格好……(怪し過ぎる)」とファッションツッコミのジャブ。この前夜は『最高の離婚』の打ち上げだったようで、興奮して家に帰っても眠れなかったと、歯を磨きながら眠たそうな顔と声で取材スタッフに語っていた。けだるそうに歯ブラシをくわえてしゃべる様は綾野自身の日常生活の寝起きシーンを見ているかのようで、“僕、いつも自然体なんだよね”アピールなんですかね。ドキッとするようなお着替えシーンも無防備に披露し、視聴者サービス! また別の食事シーンでは、着物のはだけた胸元から右乳首がコンニチハしているという出血大サービスもあった。

 先ほど「子犬のような」という表現を使ったものの、『情熱大陸』のカメラに向かう綾野剛は、子猫ちゃん感がハンパない。カメラに悪戯っぽく笑いかけたり、レンズを手で伏せたりする。何だか、女性アイドルのプロモーションビデオでも見ているのかな? と思わせるような……。

 『空飛ぶ広報室』のロケ中、車内で仕出し弁当を食べる綾野は、なかなかどのおかずを食べるか決めずに迷い箸を散々しながら、その様子を追う取材スタッフに「何から食べるか気になってるの?」と少年のように尋ね、すかさず後ろを振り向き、カメラに写らないようにおかずを頬張ったり。どうでも良さそうなことにちょいちょい忙しい子猫ちゃんだな~。その後のリハーサルでは、悔しい思いをぶつけながら涙を流すシーンを迫真の演技でこなすも、カットがかかったとたんに、ニコッと振り返り軽やかにスキップ。不思議な子猫ちゃんだなあ。

感覚的すぎて…

 情熱大陸の取材は『最高の離婚』のクランクアップから、その足で『空飛ぶ広報室』の撮影に向かう日にスタートしていた。『空飛ぶ広報室』での役柄の髪型について、美容師さんに提案する際に、ヘアカットの角度に自分のイメージがあるのか手振りのジェスチャーで一生懸命伝えるのだが、オーケストラの指揮者みたいでどんな髪型にしたいのか感覚的過ぎてよく分からなかった。しまいには、自分の映っている鏡の映り方がどうも気になるらしく、人差し指を出して鏡に近づいたり離れたり怪しい動きを何度もしながら「ちょっと長く見えてんだな、これ」とつぶやく。謎……、謎だらけの動きに視聴者も美容師さんも戸惑う。

 NHKの大河ドラマ『八重の桜』も掛け持ちをしているせいで疲労がたまったのか、楽屋で「だめだ、一回落とそう、落とさないとたまらないな」と独り言。「一回オフります」と宣言し、楽屋で寝そべった綾野。「オフります……」ワードチョイスのセンスにも余念が無い。ファッションからワードチョイスまで“綾野剛”的表現を貫くのである。

 そして仕事後の居酒屋にて情熱スタッフが綾野に問いかける。

情熱 「綾野剛が大事にしていることは?」
綾野 「99.8%は変化。0.2%だけは絶対に変わらないものが、僕自身が立てる根源になっているものがある。基本的には毎秒変わっていくって自分でも言い聞かせてるんですよ。常に変容 変化 変化(←ここ、軽くラップ調)。何も怖くない、そこが変わらないから。違うところはとことん変わっていく」

 “0.2%”という絶妙パーセントで、こだわりの強さをアピール。アスリートじゃなきゃ、なかなか言えない“0コンマ”の世界。綾野剛は俳優という枠を超えたアスリートでもあるんです。実際、中高生時代は陸上競技選手でもあったし。

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テレ川ビノ子

テレビが大好き過ぎて、頼まれてもいないのに勝手にテレビを全般的に応援しています。おもしろテレビ万歳!

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