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軽薄な若者の恋愛模様を演出して、どうしたいの? 映画『テラスハウス』による混乱

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『テラスハウス クロージング・ドア』公式HPより

『テラスハウス クロージング・ドア』公式HPより

『テラスハウス クロージング・ドア』    前田真人監督

 2012年から14年の二年間に渡り、フジテレビで放送されたリアリティ・バラエティ番組『テラスハウス』。実は、一度も見たことがない。そんな人間にでも、なんとなく、「湘南のオシャレな一軒家をシェアするオシャレな男女が、脚本のない生活を送るリアリティ番組」という情報くらいは耳に入ってくるのだから、その人気(?)と話題性は確かだったのだろう。と同時に、あまりによく出来た世界とストーリーの展開に、絶対に演出が入っている(=やらせ)だろうという噂も聞こえないわけではなかった。

 なので、それが映画化されると聞いても、「どうせテレビ局が若い視聴者のノリに合わせて作った茶番劇なんだろう」なんて、だいぶバカにした印象を抱いてしまった。当初は劇場に足を運ぶ気なんてさらさらなかった。だいたい、恋愛モノのリアリティーショーと言えば80年代後半~90年代前半の『ねるとん紅鯨団』、辛うじて『あいのり』くらいしか思いつかない世代を、向こうも相手にはしてないだろう、と。

 だがしかし、土曜の午後に何気なくテレビをつけたら『今からでも間に合う!大人のためのテラスハウスガイド』という番組が放送されていて、ぼーっと見ていた。すると、俄然興味が湧いてきたのだ。というのも、『テラスハウス』を舞台に展開する住人たちの小さな世界には、闇と病しか感じられず、これはちょっと凄いことが起こってるんじゃないかと関心を持ったのである。勢い余って、映画館に向かってしまった。

どんなにオシャレでもドラマは起こらない、なぜならそれがリアルだから。

 映画は、テレビ版での主人公、菅谷哲也くん(通称てっちゃん)が、誰もいなくなったテラスハウスから出て行こうとするシーンから始まる。自分も今日で最後、と、てっちゃんが玄関をあとにしようとした瞬間、新しいメンバーが「今日からよろしくお願いしまーす」と入ってくる。

 金融会社勤務兼グラビアアイドルという肩書きの新メンバー・松川佑依子に押されるまま、テラスハウス続行を決めるてっちゃん。その時点で「今日出ていくはずだったのに、明日からの仕事やプライベートの予定はどうなってるんだ!?」と突っ込みたくなるのだが、そういう脚本なのだから仕方がない。それに、わずか数時間後には初対面同士なのに仲良く晩ご飯を作り、「家庭的なんだねー」と佑依子を絶賛するてっちゃんには、細かいことはどうでもいいのだろう。

 翌日からは続々と新メンバー、そしてどうやら過去にテラスハウスでカップル成立したにもかかわらず、「テラスハウスって聞くと行かずにはいられないんだよね」と彼氏の反対を押し切って再入居きた女など、映画メインの顔ぶれが揃っていく。

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gojo

1979年生まれ大阪出身、立教大学社会学部社会学科卒。2005年より自身のサイト「gojo」にて映画日記を執筆、2010年には蓮實重彦、黒沢清『東京から 現代アメリカ映画談議』(青土社)の出版記念トークイベントにてインタビュアーをつとめた。「森﨑東党宣言!」(インスクリプト)に寄稿。gojogojo.comで映画日記を更新中。

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