季節の変わり目。花粉症真っ盛りの季節。体調を崩している方は、きっと多いことと思います、と手紙の出だしのような冒頭にしてみました。卒業の三月が終わり、始まりの四月。手紙を人に書いた人も多いかもしれません。あ、今はメール? いやライン? ツイッター? でしょうか。今一番流行っている通信手段は何でしょうか? 日本の四季に合わせるようにPCも携帯も、どんどんバージョンアップしていくので、まったくついていけません。そんな中、テレビでipadを自由自在に操る70代の人を見ました。その画面を見ながら、自分がいつまでたってもコンピューター業界に馴染めないのは、年のせいではなく、関心の低さのせいなのかもと思い直すことにしました。サイゾーの社長(若干、年下)にも、PCが使いこなせないことを、先日、鼻で笑われたばかり。いつか笑い返せるように、今さらながらPCへの関心を高めようと思った2015年の春です。学生時代に、春はスタートの季節だと、散々刷り込まれたせいか、春が来ると「何かを始めるべきでは」という気分になります。3月ですでに疲れが。
そして、四季と言えば『四季・奈津子』。ちょっと強引ですけど。波留子、奈津子、亜紀子、布由子の四姉妹を描いた「四季シリーズ」の、陽気で自由奔放な次女・奈津子メインの映画です(ドラマ版もあります)。
最強の女優・烏丸せつこ
主演は1979年に第6代クラリオンガールとしてデビューした烏丸せつこ(敬省略)。彼女は、この作品で小麦色の美ボディを大胆に披露し、多くの新人賞に輝いただけじゃなく、日本アカデミー賞の主演女優賞も受賞しました。変にきまじめな文体のまま、今回のコラムが進むのは、この映画の原作者・五木寛之先生のせいではなく、映画に登場する詩人・田村隆一先生のせいだと思います。すごいインパクト。もし相手役が烏丸せつこじゃなかったら、せっかくの裸体が、あっという間に水の泡になりそうなくらいの濃厚な存在感。
烏丸せつこが上京する際、偶然乗り合わせた田村先生。田村先生が自分の鞄を取ろうと動くと、烏丸せつこは、一瞬、大きくよけてしまいます。セクハラされるかもと本気で怯えているように思えました。インテリのセクハラは迫力増。赤テントの後の田村隆一を起用するのは、五木寛之原作だからこそできた隠れた夢のコラボかもしれません。そして、ケイ(阿木燿子)とせつこがトラックに乗り合わせるシーンでトラック内に流れていた歌は、八代亜紀の『雨の慕情』。トラックと言えば八代亜紀か工藤静香。現在、彼女たちを継承しているのは、くうちゃんを経て、意外にmisono? あ、あゆかな。これもすでに古いか。誰? JUJU? AKB? ももクロ? 一体、誰? とりあえず分散化でいいでしょうか。何でもない場面に流れた『雨の慕情』は、余計に名曲に聞こえました。
何かと話が脱線しやすい季節の変わり目ですが、戻して、烏丸せつこは本作で惜しげもなく脱ぐ大胆な演技を披露し、「大型女優」と騒がれました。そもそもデビュー直後から、セミヌードのグラビアなどで「日本人離れしたプロポーション」と絶賛された美しすぎる肢体。新人女優だったにもかかわらず、THE・巨匠な雰囲気ムンムンの田村先生に圧倒されず、負けじと奮闘できたのは、当時、烏丸せつこだけだったのではないでしょうか。
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