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性欲が旺盛ではない男性は生きにくい

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しばしば、「男性は大変だな」と思うことがある。
男性には「セックスを拒否する権利」が授けられていないように見えるからだ。

少し前に話題になったNAVERまとめの「女には絶対言えない男の本音」なんかを見ても、「健康な男性はセックスのために女と付き合うのだ。それが真実なのだ」と、いけしゃあしゃあと書かれている。
これに対して「正論すぎる!」と賛同する男性(ほんとに?)たちのレスがたくさんつく。
そうすると、性欲が薄かったり、セックス目的でなく女性と交際する男性は「不健康」な存在ということになってしまう。

しばしば、男はこうで女はこう、という極端な二元論がネット上で盛り上がるが、そんなに簡単に全世界の人口72億人を二分できるとは思えない。あまりに単純すぎるし、根拠もない。

女を抱くことが生き甲斐になっている男がいるとして、男に愛されるために必死になって女子力を磨く女をその男は笑えないと思う。セックスのために女に対して紳士的に振舞ったり、たいして好きでないときも「好きだよ」とささやいたりする男にとっては、その女の服を脱がせたり胸を揉んで乳首を吸ったり、フェラチオしてもらったり挿入して射精したりという行為がとてつもなく価値が高いのかもしれない。つまり、女の価値を高めているのはその男自身ということになる。

性欲の強度で優劣をつけるおかしさ

性欲は本能、と断定する意見もよく見かける。
だから性欲に欠ける存在は生き物として不適当だとか。
男の性欲は仕方ないものなのだから許せとか。
その都度、頭の中が「???」でいっぱいになる。

性欲が薄い男は男ではない、みたいなこの世の中。
男らしさ=性的な強さ。
より男らしい男(性的に強い男)こそが、優秀な男であるという既成観念。
多くの女性と浮名を流す男はプレイボーイ、豪胆、甲斐性があると誉められることもあるが、そうでない男は「つまらない奴」「甲斐性なし」「寂しそう」と見下されたりもする。
謎だ。謎過ぎる。

恋人からセックスに誘われても、疲れていたり気分が乗らなかったりして断る男性はいると思うし、断っていいと思う。
女性向けの記事では「ヤリたくない時に意思表示してもムリヤリ押し倒してくる男は強姦魔と一緒! すぐに別れるべき!」なんて論調のものもあるけれど、一方で男性に対して「ヤリたくない時に意思表示してもムリヤリ押し倒してくる女は強姦魔と一緒! すぐに別れるべき!」とすすめる記事は全然ない。
女から男に対する性暴力もはっきり存在すると思うのだけれど、それは「痴女」という男にとってありがたがるべきものとして処理されていて、性暴力によって傷ついた男側の声は掻き消されてしまう。
さらに「勃起したんだから本当はお前もヤリたかったんだろ?」とセカンドレイプされることまであるだろう。
あるいは、「女に興奮しないなんて、ホモなの?」という最低最悪のからかい。

女が男にレイプされたとして、「濡れてたんだから本当は挿れて欲しくてしょうがなかったんだろ?」と言われたら「私が悪かったんだ」と思い込むしかない。ただ、女の場合、どれだけ性交渉をその場で拒んでいたとしても、「男とエッチしたくないなんてレズなの?」と訊かれることはまずないのが不思議だ。「女よりも男とするほうがいいに決まってる!」というこれまた強烈な思い込みが、性暴力をふるう男側にあるのかもしれない。

ともあれ、セックスしたくない男、性欲の薄い男の権利は、もう少し尊重されるべきだと思う。
少なくとも私はそういう男性のほうが付き合いやすいだろうなと最近感じている。
男らしくないとされている男たちからの、「男はいつでもやりたいもの」なんて決め付けへの反論ももっと世に出てほしい。
死ぬまでセックスしたい男もいるのかもしれないが、すべての男がそうではない。そんなの当たり前すぎる。暴力的な男もいるし暴力的な女もいるしセックスしたくてしょうがない男も女もいる、その逆もいる。
「セックスしたくてしょうがない」という欲求の強さが「男らしさ」のバロメータになるなんて、吐きそうなほど気持ち悪い。
性欲こそが男の象徴だとされているこの社会では、男というのも生きにくい局面が多々あるだろうな、と想像している。

 

■哀辛悲々(あいしん・ひぃひぃ)/中学2年の頃、女友達(ぽっちゃりFカップ)が住む近所に滅多に客の来ないペンションがあり、経営者のおじさんと仲良くなった女友達に連れられて私はよくそのペンション内でカラオケをしました。数カ月の後、女友達はおじさんに性交渉を持ちかけられ「キモい」と断ったそうです。そのおじさんがよく歌っていたのは欧陽菲菲「ラヴ・イズ・オーヴァー」でした。私はしがない主婦です。

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哀辛悲々

中学2年の頃、女友達(ぽっちゃりFカップ)が住む近所に滅多に客の来ないペンションがあり、経営者のおじさんと仲良くなった女友達に連れられて私はよくそのペンション内でカラオケをしました。数カ月の後、女友達はおじさんに性交渉を持ちかけられ「キモい」と断ったそうです。そのおじさんがよく歌っていたのは欧陽菲菲「ラヴ・イズ・オーヴァー」でした。私はしがない主婦です。

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