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異性愛を特権化しない、多様な変態の肯定が心地良い『デパH』と『俺ツイ』

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(C)柴田英里

(C)柴田英里

 先日、毎月第一土曜日に鴬谷の東京キネマ倶楽部で開催されるイベント『デパートメントH』(以下『デパH』と表記)に遊びに行ってきました。

 『デパH』とは、キッチュでキャンプでヒップでパンクでモンドな人々のコミュニケーションを目的としたパーティーであり、毎回テーマに沿ったショーやパフォーマンスが催されているイベントです。私が行った4月4日は、ひな祭りと子供の日という男女の節句に挟まれた「おかまの日」と巷で認定されているため、ドラァグクイーンのショーが中心で、「百花繚乱 春のオカ祭り(?)」と銘打たれていたような気がします(うろ覚え)。

 次々に現れるドラァグクイーンたちのきらびやかで過剰なメイクや衣装の作り込みのクオリティ、パフォーマンスにおける誇張された表情やポージングは圧巻で、夜桜よりも怪しく美しかったです。

 お客さんたちの装いもフェティッシュなものが多く、ラバーや男の娘から着ぐるみやコスプレまで様々で、見ているだけで楽しく、また多様でけばけばしいながらも不思議と心地が良いイベントでした。

 イベントの後、『デパH』同様に、「多様でけばけばしいながらも不思議と心地が良い」という理由で昨年末あたりにハマったアニメ『俺、ツインテールになります。』(以下『俺ツイ』と表記)を思い出しました。

“ノーマル”と同等に描かれる“クィア”

 『俺ツイ』とは、「ツインテール」をこよなく愛する男子高校生観束総二が、愛するツインテールと世界の平和を守る為に、「テイルギア」の力によってツインテールの幼女戦士「テイルレッド」に変身して、各種のフェティシズムから生まれる精神エネルギー属勢力(エレメーラ)を糧に襲ってくる怪物・エレメリアンと戦うギャグバトルが繰り広げられる、「良クソアニメ」です。昨年10~12月にTBS他のテレビ局やニコニコチャンネル等で放送されました。

 敵の属勢力(エレメーラ)つまりフェティシズムは、「学校水着属性(スクールスイム)」「性転換属性(トランスセクシャル)」「人形属性(ドール)」「男の娘属性(ガールズボーイ)」「割腹筋属性(シックスパック)」「百合属性(ガールズラブ)」「被虐属性(マゾヒスティック)」「母属性(マザー)」「濡れ透け属性(クリアウェット)」などなど、本当に多種多様です。

 敵だけでなく、主人公・観束総二とともに「ツインテイルズ」を結成し戦うヒロインたちにも、無難なキャラはおりません。主人公の幼なじみであり嗜虐趣味的な残虐な戦闘スタイルを取る「テイルブルー」こと津辺愛香(貧乳)や、お嬢様生徒会長であり被虐趣味と露出趣味をあわせた戦闘スタイルを取る「テイルイエロー」こと神堂慧理那といった、属性や嗜好が全面に出ている人物ですし、「テイルギア」を開発し、主人公をはじめとした「ツインテイルズ」をサポートするトゥアールは、幼女好きかつ痴女です。敵も味方も、出てくるキャラクターはすべて変態という、清々しいクィア(変態)アニメです。

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柴田英里

現代美術作家、文筆家。彫刻史において蔑ろにされてきた装飾性と、彫刻身体の攪乱と拡張をメインテーマに活動しています。Book Newsサイトにて『ケンタッキー・フランケンシュタイン博士の戦闘美少女研究室』を不定期で連載中。好きな肉は牛と馬、好きなエナジードリンクはオロナミンCとレッドブルです。現在、様々なマイノリティーの為のアートイベント「マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー(MAPA)」の映像・記録誌をつくるためにCAMPFIREにてクラウドファンディングを実施中。

@erishibata

「マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー(MAPA)」

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