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「第2のゴクミ」と呼ばれた元アイドル・坂上香織の“背徳のエロス”と“掘り出し物的美乳”

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井筒和幸監督作品『突然炎のごとく』では、ジーパン越しの彼女の尻のアップが何回も出てくる。キュッと、上がっていて尻フェチには堪らないかも(『紅薔薇夫人』アートポート)

井筒和幸監督作品『突然炎のごとく』では、ジーパン越しの彼女の尻のアップが何回も出てくる。キュッと、上がっていて尻フェチには堪らないかも(『紅薔薇夫人』アートポート)

 春爛漫、ついに東京の桜は散り始め、寂しい限りです。花見の季節に締切が重なり続け、「締切を取るか、花見を取るか」の選択に迫られた厳しい毎日でした。意思の弱さゆえ、いつもなら迷わず、原稿書きより、刹那の花見大宴会を取るのですが、今年は体力の急激な低下のため、寄る年波には勝てなくて外出があまりできませんでした。ガクッ。

 いきなり話は変わりますが「大金持ちの方にはSMの趣味の人が多い」と前に本で読んだことがあります。SMは体力がいる=お金持ちは、いいものを食べ、優雅に時を過ごせるため、体力が減らない=SMに興じられる、という図式がいつしか、私の頭の中に蔓延してしまっています。どこかの大邸宅の、桜咲き乱れる庭で、SMを楽しむ富裕層族が、日本のどこかに今もいると信じて疑わない陽気な春の日です。陽気な春の日という言葉が、すでに昭和的ですが。平成から昭和、明治、そして大正浪漫へと……桜には年号を遡らせる何かがあると思います。

 で、SM小説界の巨匠と言えば、団鬼六先生。団巨匠の名作のひとつ『花と蛇』。あの“剥き海老転がし”を世に知らしめた佳作であり、昭和のゴージャスバブリー美人・杉本彩(敬省略)が現代のエロス神として大復活を遂げた作品でもあります。次から次へと、あらゆるタイプの鬼畜や変態や“縛り方”が出てくる団先生の原作と、隙のない美を体現した彩エロス神の限界点を超え、もはや臨界点まで達した挑戦が見事に融合し、結果的に平成の世を席巻した『花と蛇』。撮影現場の見学に行った団先生に「狂っている」と言わしめた、杉本彩の突き抜けた凄味ある演技。尋常な精神力と体力では成り立たなかったであろうこの映画の杉本彩から学ぶことは、それこそ山のようにあると思いますが、それはまた別の機会に。ということで、今回は、その団鬼六先生の原作『肉の顔役』を映画化した『紅薔薇夫人』で主演を演じた、元アイドルの坂上香織(敬省略)を。

 小六の時、美少女ゆえ、荻野目洋子のコンサートを観に行った時にスカウトされて芸能界入りした坂上香織。「第2のゴクミ」と呼ばれ、翌年には『独眼竜正宗』、次の年には『春日局』と大河出演二連発の快挙を成し、歌手としても『ザ・ベストテン』の注目曲や注目アーティストを紹介する「スポットライトコーナー」にも出演。さらに、当時のアイドルにとって登竜門とされていたグリコのCMにも出演。順風満帆、滑り出し絶好調。

 が、人間、絶好調の時は、ほどほどにゆるい退屈だけど失敗しなさそうな道を選びがちで、真価を発揮できるのは、むしろ窮地に立った時だ。先の杉本彩も、あのバブルブームから一転、(おそらく)下り坂を、(おそらく)とぼとぼ歩いていた時に見つけた一灯が『花と蛇』だったはず。その一灯を火の海に変えてしまった杉本彩はもちろんすごいが、その彩エロス神とほぼ同期で、少しばかり年は下だが、今アラフォーの坂上香織がこの映画の中で魅せる“背徳のエロス”もなかなかのもの。いや、かなりのエロさです。

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阿久真子

脚本家。2013年「八月の青」で、SOD大賞脚本家賞受賞。他に「Black coffee」「よしもと商店街」など。好きな漢は土方歳三。休日の殆どを新撰組関連に費やしている。

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