何でもかんでもデトックス!? 肌あれ、体脂肪、代謝の低下、吹き出物、不眠。ついでにストレスも疲れも汚部屋も不運までも! 都合の悪いものは片っ端から〈毒素〉の仕業とされているような風潮があるようですが、そもそも〈毒素〉って何? まずは巷の〈デトックス法〉をざっとウォッチングしてみましょう。何が出るかな、何が出るかな〜♪
●発汗系
昔からあるスタンダードなデトックスは〈発汗系〉。発汗&皮脂分泌を促し、毛穴から有害金属や老廃物を排出させましょうという、ゲルマニウム温浴や岩盤浴のほか、ちょっとお手軽に半身浴も。そこへ呼吸によるリラクゼーション効果もプラスするのがホットヨガ。これらは温熱効果で代謝が上がり、肝臓の働きもよくなると謳われる場合もあるようです。また、塩の浸透圧を利用して毛穴の毒素を浮かび上がらせるというのが、当連載でも紹介した塩浴です。
●冷えとり系
信者ののめり込み度がアツい〈冷えとり健康法〉では、独自理論による〈冷え=毒〉という解釈です。絹と綿の靴下を重ね履きして、穴が空くと「足裏から毒素が出た」証拠とされるのが特徴。冷えとりの効果について触れている『あたらしい自分になる本』(服部みれい)によると、靴下重ね履きで寝たら悪夢を見たり匂いが臭くなったのを〈冷え=毒〉が出た証拠! とつづっています。妊婦はよく寝苦しさから夢見が悪くなると言いますが、それとは違うの?
●食品系
食物繊維で腸内環境を整えたり、解毒臓器である肝臓の働きをサポートする栄養素を取りましょう、というものがほとんど。最近では炊いてから熟成させる〈寝かせ玄米〉なるものも、デトックス効果が高い! と評判のようです。ネギ類や玄米、海藻類、野菜の一部にある〈キレート作用(有害物質をはさみこみ、体外へ排出する)〉も定番のお説。お茶分野では抗酸化作用が高いというルイボスティーや、辛み成分が腸を刺激するというショウガ入りのものがありますが、あれは単純においしいので、私は好きです。
大ブームとなった〈酵素〉も、デトックス界で幅を利かせているもののひとつ。食べ物で酵素を摂取すると、新陳代謝や解毒などの働きが活発になるのだとか。〈ローフード〉や〈スムージー〉がデトックスに有効と言われるのも、ほぼこの酵素と食物繊維の合わせワザかと思われます。
老廃物の排出に役立つからと、ミネラルウォーターをたっぷり飲むことも推奨されます。手軽でいいけれど、過剰摂取による〈水中毒〉で死亡なんて事故も起こっているので、何事もほどほどに……。
●エステ系
エステ分野では、至福のひとときが堪能できる〈リンパマッサージ〉を知らぬ人はいません。これは店によって〈排毒マッサージ〉とネーミングしているケースも。〈毒素を出す宿便〉という概念を持つ〈腸内洗浄〉では、カフェインが老廃物の排出をスムーズにするからと、コーヒーで浣腸するという一見インパクトのでかい施術があります。
●生理&出産
その他、出産や生理もデトックス扱い。男性と比べて女性が長生きなのは、毎月生理でデトックスしているからという説もある〉と解説。アトピー性皮膚炎の子どもを〈お母さんの毒を持っていったから〉という表現するのも有名です。懐かしの〈足裏に貼る樹液シート〉や〈足浴でお湯が黒くなる機械〉は、毒素でも何でもなくただの化学反応であることは言わずもがな。
●and more…
まだまだ続き、スピリチュアル界ではネガティブな感情やオーラ=毒素、頭皮ケア界では毛根に付着した皮脂の塊を〈頭皮毒〉、日用品の化学物質をディスる界隈では〈経皮毒〉、電磁波、放射能、情報化社会etc……何もかも毒素まみれな、一億総毒素化時代です。明日にでもリアル『悪魔の毒々モンスター』に遭遇できそうな勢い!