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避妊具が広まるとビッチが増えるか否かを、経済学の面から解き明かす!?

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セックスとお金は切っても切れないものなんだって。Photo by Brad Gosse from Flickr

 セックスも恋愛も経済活動のひとつである、といわれると、風俗とか愛人契約とかその手のお話かしら、と思った私は短絡的でした。恋愛と経済っていうと、草食男子が増えると男性が女性にモテようと車を買ったりプレゼントを贈ったりという消費行動をしなくなったとか、そういうこと? ……いえいえ、それも見当はずれなのでした。

セックスと恋愛の経済学』を手にとったのは、そのタイトルに心惹かれたがゆえですが、カナダの名門校ブリティッシュ・コロンビア大学の人気授業が1冊にまとめられたということで、そこに書かれていたのはたいへんアカデミックな内容でした。とはいえ、「数字ニガテだから、経済とかもニガテ~」なんていう私でも、ユニークな考察の連続にページをくる手が止まらず一気読み! なぜならそこに書かれているのは、私たちフツウの男女の恋愛とセックスだから。それらもすべて、社会経済の影響を受けての行動であることが丸わかりになるのです。

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 たとえば、「避妊具が広まるほどヤリマンが増える」という仮定について。

 「避妊技術の向上は確率的には性の乱れの『コスト』を下げます」というのが、それに対する答えです。性の乱れというのは婚前交渉だったり、複数の相手とのセックスだったりを指します。婚前交渉=乱れたとするのは違和感がありますが、カナダでもそれはもちろん変わりません。ヤリまくっている大学生たちも本書では考察の対象となっています。ただ、その年齢が低いほど眉をひそめるオトナが増えることもたしかです。

 それにしても、奔放な性生活にかかる〈コスト〉ってなに? 本書の定義では、

 コスト=女性が妊娠したり性病に罹患する確率×それに伴うコスト

だそうです。妊娠し、婚外子を産むとなる、将来リッチな男性と結婚できたかもしれない機会を手放すことになり、それは、その結婚生活によって伴侶をとおして得られたであろう収入も失うという意味です。

 避妊せずにセックスしつづけると85%の確率で妊娠し、「結婚生活で得られたはずの収入」を5万ドルとすると、

 5万ドル×0.85=4万2500ドル

が、コストとなります。ではここで、ちゃんとコンドームを使ったとします。コンドームといっても万全ではなく、着け方が間違っているなどの理由で妊娠することはありますから、その確率を本書では45%としています(←えっ、高すぎない!?)。すると、この場合のコストは、

 5万ドル×0.45=2万2500ドル

となるわけです。1回のセックスで何かを失うとしたら、それが多いのと少ないの、どっちがいい? これへの回答は考えるまでもありませんが、ではどのくらいの損失であれば「ま、いっか」と思ってセックスしてしまえるのか……ということが、順々と解説されていきます。

避妊の考え方が変わる

 もちろん性の乱れはそれだけで起こるものではなく、貞操観念や、その人が置かれた環境の男女比、ヤリマンであることがばれたときに男性にどう思われるか……などによってさまざまに変化しますが、このコストについての考えが広まれば、「ちゃんとゴムつけて、じゃなきゃHはなし!」と男性にきっぱりいえる子も増えることは間違いないでしょう。日本の性教育も、「妊娠は怖いぞ~、性感染症は怖いぞ~」とただ脅すのではなく、こうした別の角度から「避妊しないことで自分が被る損失」を具体的に提案すればいいのに。

 本書を読むと、セックスを取り巻く状況は日本もカナダ(米国の調査報告も多いので北米といってもいいかも)、大差ないのだと感じます。経済的格差が性行動や結婚年齢、生涯未婚率に大きく影響を及ぼし、婚活サイトやSNSの出会いで期待と失望をくり返し、若い世代は草食化していて、婚外恋愛や熟年セックス市場は、とても元気! これらがあらゆる統計をもとに経済学的観点から語られていくわけですが、そのための調査そのものに、日本にはない〈攻め〉の姿勢が感じられました。客観的に把握することが、多くの人のセックスライフにとってプラスになるという考えです。

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桃子

オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

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