ナンパから発生するセックスなんか、いらなくね?
それで彼らは「ナンパを禁じたら、素敵な出会いもなくなる!」とよく分からない正当化をはじめるのですから苦笑するしかありません。ナンパなんかなくなっても、普通に恋愛とかありますから……(だって大半の人はナンパなんかしたことないでしょう)。ナンパが素敵な出会いかどうか、決めるのは本人の価値観ですから、「職場恋愛よりも見ず知らずの人を口説き落とすナンパが至高!」と言うのならそれはそれです。ただ、迷惑行為であることだけは理解したほうがいいし、自分が強姦にあたることをしているかも、とか考えもしないのかなこの人たちは、というのも大いに疑問です。
真木蔵人も言ってましたけども、出会う必要がない人と無理して出会う必要なんかないし、無理やりな方法で出会ったら変なことが起きちゃうんですよ。セックスを神聖視するわけではないのですが、どう考えても、ナンパから発生したセックスは「不必要なセックス」としか私には思えないんですよね。仮に女の子も楽しんでたとしても、そんなセックス、全然しなくて良い。マツコデラックスの被り物をして言いますね、「アンタ、もっと自分の体を大切にしなさい!」って。
そもそもナンパ師の行動には「自分のセックスは100%安全である。性病感染や妊娠リスクはない!」という前提があると思います。まず、その前提がおかしい。コンドームをしていてもリスクは残るし、手にウイルスがついていてそこから性病感染……というリスクもあるわけです。だから、ナンパ師が「自分たちは悪いことをしているわけではない」と正当化するのは、難しいと考えます。だって、不必要なリスクをばら撒くような行為をしてるわけでしょ。100%安全なんてありえません。
彼らはナンパ対象の女性に人格があるとは考えてないのかな、とも思ってしまいます。あたかも、女性は、メソッド通りに行動すれば想定内の反応をしてくれる機械のような扱い。そうであるがゆえに「工学」という機械的なネーミングがしっくりくる。そこがもう気持ち悪い。どんだけ「俺が世界の主人公」なのかと。また、ナンパ成功=モテ男という図式がまずおかしいよな~とか、恋愛工学信者のメンタリティは性暴力加害者のそれと酷似しているから本当に害悪とか、いろいろあるわけですが、どこからどう考えても正当化の余地のない「性欲旺盛な男のためのナンパメソッド」、それが恋愛工学なんですね。
■カエターノ・武野・コインブラ/80年代生まれ。福島県出身のライター。Twitter:@CaetanoTCoimbra
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