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「恋愛工学」に手を染める“キョロ充”の群れ。噂のナンパマニュアルは男たちを破滅へと導く麻薬!?

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手取り足取りのマニュアルが大好きな“キョロ充”たち

佐藤 でもさ、一体何が彼らをそこまで駆り立てているのか、個人的にちょっと不思議で。というのも、実は私も一時期ナンパにトライしてみたことがあるんですが、あれって正直しんどいんですよ。いくら見知らぬ人であろうと、女性からあからさまに拒絶されるのって精神的にキツいわけで、単に「セックスしたい」って気持ちだけじゃとても続けられないと思うのよ。

清田 そこは確かに気になるところだよね。受講生のブログを読んでみるとさ、めっちゃマジメにレポートを書いてたりするのよ。声をかけた件数、連絡先を聞けた人数、かかったお金や時間、習得できたメソッド、その日の反省点など……内容が事細かに記されていて、何と言うか、“自己啓発”のニオイがぷんぷん漂っていた。もっとも、「ナンパの自己啓発化」は社会学者の宮台真司さんが以前から指摘していたことだけど、恋愛工学はまさにそんな感じで。

佐藤 それはちょっとわかるかも。数年前に私がナンパにトライしてみようと思ったのも、元々は「大失恋を乗り越えよう」というモチベーションだったんですが、思えばあれって自己啓発だったような気がします……。

清田 藤沢さんはこの恋愛工学を、「本当に愛する女性に出会うための恋愛テクノロジー」と言っているのよ。つまり、「目的はセックスじゃないよ」って建前になっている。これにより、受講生たちは「俺がやってるのは幸せにたどり着くための修行なんだ!」「メソッドを学んでいろんな女を抱きつつ、心の底から愛せる美女に出会うべくがんばるぞ!」と思い込める仕組みになっている。

佐藤 しかもさ、ネットで恋愛工学が炎上したり、受講生から「女性に怒られました」的な投稿があったりすると、藤沢さんは「大丈夫です。すべて想定の範囲内です。うろたえる必要はありません」みたいな言葉を与えてくれるんだよね。それにより、受講生たちは「よかった!」「俺たちがやってることは間違ってないんだ!」と不安を除去してもらえる。前述のトモダチンコのように、「女が嫌がっても押し切っちゃえば大丈夫です」的な、デートレイプを推奨するような発言もあるのに……。

清田 つくづく手取り足取りだよね。例えば女性から拒絶されたら、大抵は「俺がキモかったからか……?」って不安を抱くと思うんだけど、藤沢さんはそこに、「ちゃんとメソッドを習得できてなかったからですよ」という理由を与えてくれる。相手女性の考えとかは完全に無きものにされていて、受講生は「俺自身が否定されたわけじゃなく、修行が足りなかっただけなんだ!」という発想になる。拒絶されたのは“自分自身”ではなく“修行が足りない自分”ってことになるから、彼らは決定的には傷つかない。

佐藤 相手とも自分とも向き合わなくて済むから、楽なんだよ。何かもう、攻略本を見ながらゲームしてる感じだよね。つまり、藤沢先生が舗装してくれた安全な道を進みながらレベルアップを体感していくわけでしょ?

清田 そうだね。そして、そういうゲームに勝手につき合わされてしまうことが、女性たちが抱いている嫌悪感の一因ではないか……。何の合意もなく成長物語の登場人物にさせられてしまう気持ち悪さ、というか。

佐藤 たまったもんじゃないよね。もちろん、世の中にはナンパで生まれた素敵な出会いもたくさんあるだろうし、それ自体は否定できないと思う。でも、恋愛工学が想定している「女」って、ルックスとスタイル以外に差異がないんだよ。「この技を使えば女はみんなこう反応する」っていうのは、つまり「女性を人間扱いしていない」ってことと同義で、そこが批判されている点でもあるんだけど、それってそもそも恋愛なのかって話だもんね。

清田 うん。そう考えるとさ、恋愛工学に飛びつく男子って、極めて“キョロ充”的なマインドだよね……。

佐藤 キョロ充? それって、あのネット用語の?

清田 そうそう。元々は「リア充グループに必死に食らいつき、浮いたりハブられたりしないよう、空気を読み、まわりの様子をキョロキョロうかがっている連中」というような意味だと思うんだけど、誤解を恐れずに言えば、恋愛工学の受講生ってそういうマインドを持った男たちだと感じる。

佐藤 どういうこと?

清田 キョロ充ってさ、もう少し意味を拡張すると、「おいしい思いをしたいけど、リスクは背負いたくない人」って感じになると思うのよ。コスパ重視で、タダ乗りが大好きで、寄らば大樹の陰で、面倒くさいことからは逃げる人、というか。

佐藤 「飲み会やってよ」とか「行けたら行く」とか言うヤツね。自分では主体的に動こうとせずに。

清田 恋愛工学の受講生って、つまり「藤沢数希の作ったシステムに乗っかってる人」ってことだよね。藤沢さんはBLOGOSのインタビューで「恋愛工学を習得したフツメンのサラリーマンが、恋愛市場でイケメンや金持ちを圧倒している」という内容のことを語っているんだけど、これってキョロ充のプライドをくすぐる言葉だと思う。だって、「君たちはイケてるグループですよ」ってことを言ってくれてるわけで。受講生はそういう立場も買ってるんだよ。「月額864円」という結構なコスパで。

佐藤 なるほど。で、そのグループに食らいつこうと、必死にマニュアルを読んでナンパに勤しんでいると。そう考えると、確かにキョロ充的かもしれないね。

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桃山商事

二軍男子で構成された恋バナ収集ユニット「桃山商事」。失恋ホスト、恋のお悩み相談、恋愛コラムの執筆など、何でも手がける恋愛の総合商社。男女のすれ違いを考える恋バナポッドキャスト『二軍ラジオ』も更新中。コンセプトは“オトコ版 SEX AND THE CITY”。著書『二軍男子が恋バナはじめました。』(原書房)が発売中。

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