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選挙が終わっても政治は続く。「筆談ホステス」の区議当選から考える障害者差別をいかに乗り越えるか

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Photo by kris krüg from Flickr

 今月26日に地方統一選が終わりました。同性パートナーシップ制度の運用を左右することで注目されていた渋谷区の区長選は、本条例案の提出を積極的に呼びかけていた長谷部健氏が当選。すでに様々な自治体が類似の条例案を検討しはじめており、長谷部氏にはそのモデルとなる運用をぜひしていただきたいと共に、問題視視されていた「ホームレスの強制排除」について、どのような方向性を打ち出すのか、注目していきたいところです。

 そう、選挙が終わっても政治は続く。政治参加は選挙のみではありません。そこで今回は、第18回地方統一選によって浮き彫りになった問題を考えたいと思います。

「筆談ホステス」斉藤りえ氏当選

 「筆談ホステス」として有名になった斉藤りえ氏は、今年2月末に北区政に挑戦することを宣言。みごとトップ当選しました。聴覚障害を持つため、声を使った街頭演説が難しい斉藤氏は、筆談による街頭演説を検討したそうです。しかし公職選挙法の「文章図画」の提示にひっかかることが懸念され(選挙ポスターなど許可されたもの以外、文字・記号の使用は禁じられている)、斉藤氏を応援する北区選出の東京都議会議員・おときた駿氏がマイクを握っていました。

 実は兵庫県明石市でも、聴覚障害を持つ候補者が当選をしています。無所属新人の家根谷敦子さんです。家根谷さんは生まれつき耳が聞こえず、手話による街頭演説を行い、娘さんが通訳をしていたそうです。

 聴覚障害者がふたりも議員になることはたいへん喜ばしいことです。性的マイノリティや障害者などは、決して少なくない数が存在するにもかかわらず、なかなか社会に声が届きにくく、理解がされにくい。そのために制度や環境が整っていないのが現実です。

 今回、斉藤氏が筆談で街頭演説することを取りやめたのも、制度の不備の現れでしょう。今後、公職選挙法は筆談による街頭演説を禁じているのかを検討する必要があると思いますし、そもそも「政治に聴覚障害者が参加する」ことを想定してこなかったことも問題視すべきと考えます。

 本会議での議論をどのように行うのかも検討しなくてはいけません。手話通訳者や筆記による議論が行われるのではないかと予想していますが、これによって聴覚障害を持つ市民も、手話通訳者など連れずに一人で議会を見学できるようになるでしょう。市民が当然の権利として持つ政治参加を行えるようになる。その環境整備がふたりの区議、市議によって進められることを期待しています。

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