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【messy調査】痴漢対策を”押し付けられている”現状

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Photo by Tuan Minh Pham from Flickr

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 先週から実施していた【messy調査】「痴漢“させない”ためにはどうする?」の結果を発表いたします!

 “させない”方法となるとハードルが高かったのでしょうか。いままでの調査の中でも回答数がたいへん低かった……。今回は警察庁が平成23年3月10日に発表している「電車内の痴漢防止に係る研究会の報告書」と、みなさんからいただいた回答を元に、痴漢について考えていきます。

痴漢が発生するのは「通勤・通学時」が多い

 まずは警察庁の公表している「電車内の痴漢防止に係る研究会の報告書」を見ていきましょう。

 電車内での痴漢は、都道府県迷惑防止条例違反で検挙するのが一般的なようですが、悪質な場合は「強制わいせつ」として扱われるようです。報告書によれば、平成21年の「迷惑条例違反」は3880件、「強制わいせつ」は340件でした。平成20年の調査ではそれぞれ4041件、413件ですから微減していることがわかります。

 ただし、この調査は「何らかの形で検挙された数」ですから、痴漢の被害に遭った方の数はもっと多いことに注意が必要です。実際、同報告書内では、インターネットによる意識調査を行っていますが、痴漢に遭ったときの行動として「我慢した」と答えた方は52.6%で、「その場から逃げた」は45.1%でした。これらは、痴漢は発生しているにもかかわらず、「迷惑条例違反」や「強制わいせつ」にカウントされていません。

 いくつか報告書内にある興味深い結果をピックアップしていきましょう。

 被疑者は「通勤・通学の路線」で痴漢することが多いようです(67.1%)。そして時間帯は「通勤・通学の時間」が56.2%で一位でした。わざわざ痴漢をしに電車に乗るというよりは、普段使っている電車の中で痴漢をしてしまう加害者が多い、ということなのでしょうか。そして、地域や路線にもよりますが、通勤・通学時間ということは、おそらく車内は込み合っている、と考えられます。

 ちなみにmessy調査では、8割の方が痴漢被害に遭ったと回答されていて、多くが朝方か夕方に被害に遭われていました。

 なお前出の報告書によると痴漢を行った場所は「左右のドアとドアの間」と回答する被疑者が57.5%とダントツ。痴漢対策として女性専用車両に乗る女性が34.3%いるようですが、立ち位置を変えるだけでも、被害に遭うリスクは減らせるのかもしれません。

被害者に対策が押し付けられているのが現状

 ここからは皆さんにいただいた「痴漢“させない”ための取り組み」を紹介していきましょう。適宜、編集部による要約が入っています。

乗車時膝上スカートの禁止。表現を「痴漢」ではなく「婦女暴行」に統一。精神的被害を鑑みれば殺人未遂でも良い。冤罪についても厳罰化。(性:その他、年齢:21~25歳、住まい:東京都、被害経験:ある)

 これはなかなか過激ですね……! どんなスカートを履くかは個人の自由で被害者側への規制になってしまいます。また「婦女暴行」「殺人未遂」については、表現の違いに過ぎませんが、行為の重さを一般に認識させる面では一考の余地があるかもしれません。どれだけ厳罰化するとよいのか、また厳罰化にはどれだけ痴漢防止の効果があるのかは検証する必要があるでしょう。

被害に遭った時、勇気を出して犯人を野放しにしないこと。ただ、それによって仕事に遅れる、被害証明をしなくてはいけないなど、億劫になって声を出せたことがなく自己嫌悪に陥る。(女性、21~25歳、東京都、ある)
痴漢に遭ったら声を上げて抵抗することを教育する。男女共に性的な被害に遭うので、性別関係なくこの問題に取り組むこと。ただ、被害者に落ち度がないことが浸透するのは難しいですよね。(女性、36~40歳、神奈川県、ある)

 結局被害に遭う側だけに、「声を上げること」や「証明すること」が押し付けられているのが現状です。個人の問題に集約されてしまうと、勇気が持てずに声を上げられなかった人は、むしろ責められるような気持ちになる。おかしな話ですよね。

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