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男性が語るセックスはなぜこんなにもつまらないんだろう?

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『GQ JAPAN 2015年 06 月号』コンデナスト・ジャパン

『GQ JAPAN 2015年 06 月号』コンデナスト・ジャパン

 男性ファッション誌『GQ』2015年6月号(コンデナスト・ジャパン)が「日本人1000人のセックスライフ」という特集を組んでいます。セックス特集といえば『an・an』(マガジンハウス)のものが有名。男性誌でセックス特集というのは写真週刊誌やゲーセワ実話雑誌以外では珍しい気がして手に取ったんですが、これがガッカリするぐらいつまらなかった。『an・an』も大概ですが、これは一般男性のセックスに対する想像力の貧困を示しているのではないか、と思わされる内容でしたね。

 今回の号に限らず高級腕時計に、高級車、高級海外ブランド、最新電子ガジェット……と男性が好きそうなものの紹介で固めた『GQ』に男性的価値観が支配的なのは当然なのかもしれませんが「多くの男性がセックスに興味津々なのは、紛れもない事実」と定義してしまっているところがまず問題です。特集で紹介される、54の質問に対する男性1000人の回答結果も、すべて「男ならセックス好きなの当たり前でしょうが!」というステレオタイプばりばり。だから、セックスへの関心が低くなっていると示唆されるデータ(いわゆる草食化現象)が出てくると「これは大変!」、「男なのにセックス嫌いなんてどうなっちゃってるの?」と論じる方向に進む。すべて計算どおりです。

男はセックスが好きでしょ? の息苦しさ

 これまで【messy】上で私が書いた記事を読んでくださった方々には、お判りかと思うのですが、私は個人的に、「夫婦なんだからセックスするのは当然」、「草食系男子なんかあり得ない」みたいな論調には「別にセックスしなくても夫婦でいていいじゃん」、「良いんじゃないの、セックスしなくても。それより楽しいことがあるんでしょ」というスタンスでおります。セックス自体は好きですけれど、「セックス好きじゃなきゃおかしいでしょ」という論調には息苦しさを覚えるのです。この論調は男を「こうあるべきでしょ!」と抑圧する方向にはたらいていると思うんですね。

 セックスは子供を作るのに必要な行為でもあります(みなさん、知ってますよね!)。社会的に少子化は問題だ、とか、子供を作らなければ、人類は滅びる! みたいな大きな問題を鑑みるのであれば、セックスしないのは問題だ、というのもわかる。でも、人類が滅びるから俺がセックスしなきゃ、みたいなセカイ系主人公の気持ちには全然なれないですし、社会的にセックスしないのは問題だ、といわれてもピンとこない。

社会的なセックスの要請にピンとこない

 今回の特集で数少ない見所は、社会学者の千田有紀とフランス文学者の鹿島茂の対談記事でしたが、ここでも「国民の社会に対する意識低下がセックスへの関心の低さに影響している」と示唆されます。鹿島先生曰く「私が結婚した40年前は、本当の恋愛結婚は20%くらい。ほとんどが会社婚でした。大企業の一般職は短大卒のお見合い要員の女性たちで、就職=婚活」。それに対して千田先生は「1990年代あたりから、会社で出会った人と結婚して、夫婦一丸となって会社のために頑張るというシステムが崩れました」とおっしゃっています。

 つまり、かつては、自らを取り巻く環境(会社であったり、社会であったり)のために家族になって、子供を作って頑張るという動機があった。けれども、現在はその動機がなくなっちゃっている。セックスするモチベーションもそこで低下する。そして、セックス以外にも楽しいことはたくさんある。えっと、この流れってすごく自然だし、個人が集団のために結婚とかセックスとかの個人活動を頑張ることのほうが不自然ですよね。要するに時代は変わったと。なのに「セックスレスは問題」、「セックスしないのはおかしい」と言われると、ものすごいミスマッチ感があります。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra

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