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世界一睡眠時間の短い日本の母を「がんばり屋さん♪」と誉めて叩き潰す“苦労=愛情”の妄信

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(C)柴田英里

(C)柴田英里

 ゴールデンウィークが終わりましたね。

 私の連休は、『おジャ魔女どれみ』シリーズや、『明日のナージャ』など、現在の女子大生が女児であった時代(1999年~2003年)に流行った女児向けアニメをひたすら見て終わりました。

 『セーラームーン』と『プリキュア』の間に挟まれた時代の魔法少女アニメ『おジャ魔女どれみ』は、非戦闘型の魔法少女です。主人公・春風どれみとその仲間の少女たちは魔女見習いで、魔法を使える立場でありながら、育児やお菓子作り、手芸、ガーデニングなど、家事的なことをできる限り魔法の力を借りずに、お互いが協力して行っています。

 4年間のシリーズを通して、「魔女と人間の世界を結ぶこと」が彼女たちの達成されるべき目的として設定されていますが、そのためにどれみをはじめとした魔女見習いの少女たちが行うことと言えば、前述した「子育て」「炊事(ケーキ作り)によって先々代の魔女の国の女王の恋愛の辛い記憶を和らげること」「手芸(タペストリー作り)によって先々代の魔女の国の女王に家族との楽しい思い出を思い出させること」など、魔法の力で変身はすれど、戦闘とはほど遠い、「素敵な奥さん」または「近所のおせっかいおばちゃん」のような行為が大半です。

 中でも、魔法の薔薇「ウィッチクイーンローズ」から産まれた赤ん坊「ハナちゃん」を育てることにおいては、少女たちが自発的に「育児に魔法は使わない」と誓い、徹夜で看病したり、乳児の鼻水を口で吸い取ったり、布おむつを使用しているのか頻繁に乳児の漏れた尿にまみれたり、粉ミルクや離乳食を作ったりなど、小学4年生の少女たちにとっては結構リアルかつ大変な育児をしています。

 彼女たちは「やっぱり魔法を使わないのが愛情」と、魔法で魔女見習いの格好に変身しているにも関わらず、魔法を使えば一瞬でできる「乳児にミルクを飲ませること」を、哺乳瓶の煮沸消毒からすべて人力で行います。

 魔法少女たちが遂行したように、「能力(あるいは技術)を使えば楽にできること」を「時間をかけて一から自分で行うこと」こそ「愛情の証」ととらえることや、「楽をすることによって愛情が損なわれる」という妄信は、現代日本の育児にもなぜか当てはめられがちです。

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柴田英里

現代美術作家、文筆家。彫刻史において蔑ろにされてきた装飾性と、彫刻身体の攪乱と拡張をメインテーマに活動しています。Book Newsサイトにて『ケンタッキー・フランケンシュタイン博士の戦闘美少女研究室』を不定期で連載中。好きな肉は牛と馬、好きなエナジードリンクはオロナミンCとレッドブルです。現在、様々なマイノリティーの為のアートイベント「マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー(MAPA)」の映像・記録誌をつくるためにCAMPFIREにてクラウドファンディングを実施中。

@erishibata

「マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー(MAPA)」

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