インタビュー

就業規則に「同性婚・事実婚」の社員を想定 認定NPO法人フローレンス明智カイトさんインタビュー

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明智カイトさん

明智カイトさん

 渋谷区の同性パートナーシップ制度を皮切りに、LGBT(L:レズビアン、G:ゲイ、B:バイセクシュアル、T:トランスジェンダー)に関する取り組みに注目が集まっています。病児保育や障害児保育など、子育て支援の分野で活躍する認定NPO法人フローレンス(従業員数:約300人)は、今年4月より就業規則を変更し、同性婚・事実婚も、法律婚をした社員と同等に慶弔休暇が取れるようになりました。就業規則が変更されるきっかけとなった提案書を提出した同法人のスタッフ・明智カイトさんにお話を聞きました。

「働きやすさ」だけではなくサービスの「利用しやすさ」も追う

―― フローレンスの採用情報ページには、「様々なバックグラウンドを持った人が働いており、多様性を大切にしています。LGBT等、性的マイノリティの方も歓迎です」という記載があります。一見すると既に制度は整っているようにも思われますが、今回、就業規則の変更が必要だと考えた経緯についてお聞かせください。

明智 私は子育て支援や少子化対策に興味がありフローレンスで働きたいと思っていました。それで初めてLGBT当事者であることをカミングアウトして入社したのですが、「明智さんは男子トイレと女子トイレはどちらを使うの?」と聞かれました。私はゲイなので、トイレの配慮は要りません。それでちょっと不安を感じました。

―― 明智さんは身体も性自認も男で、恋愛対象が男の男性同性愛者ですよね。トランスジェンダーではない。

明智 はい。LGBTを積極的に採用するというわりにはLGBTに関する理解が浸透していない、という印象を受けたんですね。そこで人事部と相談をしてLGBTへの理解を深めるために「虹色ダイバーシティ」から講師を招いて、「LGBTはどんなひとたちで、何に困っているのか」という内容の研修を行うことになりました。

研修を実施したことによりソフト面(理解)はクリアすることができました。次はハード面(制度)を整える必要があります。その点については事務局長に「困っているならばもちろん話は聞きたいし、手助けをしたい。だがどうしていいかわからない。具体的に、当事者から要望を教えて欲しい」と言われました。

―― そこで、具体的な要望として「LGBTなど性的少数者が働きやすい職場づくりのための提案書」を提出されたのですね。提案書には就業規則だけではなく履歴書についても記載があります。実際にどういった提案を出し、そして何が変更されたのか教えてください。

明智 フローレンスが採用活動にあたり使用している指定の履歴書フォーマットには、男女いずれかを選択する性別欄がありました。トランスジェンダーにとっては、戸籍・性自認のどちらを書けばいいのかわからない。本人が望んでいないカミングアウトをさせてしまう可能性だってあります。そこで「性別欄の削除」を要望したのですが、「削除は出来ない」ということだったので「性自認」を書ける欄を設けることになりました。

就業規則については、慶弔休暇における「結婚」の定義を「入籍」だけでなく「事実婚」(未届の妻または夫と世帯を同一にすること)・「同性婚」(同性のパートナーと挙式を行うこと、あるいは結婚関係であると相互に認めること)とし、「配偶者」の定義を「婚姻、事実婚もしくは同性婚の相手方」と変更しました。

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