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不倫はあやまちだけど、罪ではない。人妻官能本に見る、不倫経験者の心模様

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momoco95

切ないんです。Amazonより

 「女という幻想をぶっ壊す! 本音情報サイト」を標榜するここmessyですが、記事そのもの以上にコメント欄で女性の本音がうず巻いていることがあります。痴漢をはじめとする性犯罪やセクハラに関する問題、少子化やジェンダーに関わる問題についてはアツく議論が交わされますし、女性タレントの容姿を「劣化」と表現する記事には決まって「加齢こそ自然」という指摘が入ります。あと盛り上がるのは不倫案件でしょうか? 特に元アイドルグループの例の方に対して、いまだ「謝るべき」と怒りも露わな書き込みをする方がいて、私は首をかしげてしまいます。

 ほんとうに理解できないので、「謝る」という語を辞書で調べたほどです。そこには「悪かったと思って相手に許しを願う。わびる」とありました。なるほど、不倫をしたタレントが「許しを願う」姿を見て、溜飲を下げたいのですね。もっと言うとエンタテインメントとして消費したいのでしょうか。自分が何も害をこうむっていないことに対して許しを請われても居心地が悪いだけだと思うのですが、それすら楽しめる人たちがいる……ほんとうに摩訶不思議な現象です。

 そして、辞書にも「悪かったと思って」とあるように、ここには不倫=悪という前提があります。不倫……そんなに悪いことですか? といってしまうと怒られそうですが、それでつらい想いをした当事者以外が断罪できるものではないというのが私の考えです。あやまちではあるけど、罪ではない。どんな事情があるのかわかない個人の問題に、〈不倫する女〉というレッテルを貼って社会的に糾弾する様子を見ると、違和感がふくらむばかりです。

 不倫を肯定すると家族のあり方が揺らぐ、と義憤にかられている人もいるでしょう。でもそれって「同性婚を認めると、日本の家族観が崩壊する」「夫婦別姓は、従来の家族観の否定」という主張と同じで、根っこがぜんぜん別の問題を一緒くたにしているだけのように見えます。言ってしまえば、不倫によって壊れる家庭もあれば、壊れない家庭もあります。それ以前に不倫は〈原因〉ではなく〈結果〉である場合もあります。すでに破綻していた家庭だからこそ不倫が起きた、という場合です。そこからしてもう矛盾が生じています。

不倫はそんなに悪いのか

 それにしても、不倫ってそんなに悪いことですか? くり返してしまいましたが、私は、ルールを守っているぶんには自由恋愛の範疇だと思うのです。ルール=自分の家庭と相手の家庭、特にそれぞれの子どもを巻き込まないということです。そういう意味では件のタレントさんはそれに反していますが、そうだとしても当事者同士の問題であり、外野がどうこう言えるものではないのでは。

 その一線を守りながら、切実な思いで不倫の恋を求める人を否定できない……そんな気持ちにさせてくれるのが『妻たちが焦がれた情欲セックス』(イースト・プレス)です。官能小説家の加藤文果さんが15人の既婚女性に取材をし、彼女たちがいま身を焦がしている、あるいはかつて溺れていた不倫の恋について聞き出して1冊にまとめたものです。

 どのエピソードも究極にセクシーです。情事のシーンは官能小説家としての本領がいかんなく発揮されていて、たいへん上質なオカズとなります。はい、私も活用させていただきました! なかにはアナルセックスとか乱交サークルとか屋外露出とか、かなりアブノーマルなプレイも出てきて刺激的ですが、それ以上に読後、胸に残っているのは、不倫をする女性たちの心模様でした。

 本書では不倫を善いものとして推奨しているわけでも、悪いものとして断罪しているわけでもありません。善悪の二元論に落とし込めるものではなく、ただ男と女のあいだにただ起きてしまうもの。否定している人だって、いつそこに落ちるかわからない。ネットで相談に乗ってくれた男性と会ったその日にホテルまで行った人妻さんが「そんなの一部の常識のない人たちがやってることだって、どちらかというと軽蔑してました」というとおり、どんなに道徳観念&貞操観念が強い人だって不倫を求める瞬間があるかもしれない。そんな危うさをまったく抱えていない人がいたら、尊敬すべきなのでしょうが、ツマンナイ人だなとも思ってしまいます。

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桃子

オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

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