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痴漢を消費するネプリーグと、女性の自意識に矮小化する人びと

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『ネプリーグ』(フジテレビ系)公式サイトより

『ネプリーグ』(フジテレビ系)公式サイトより

 5月18日のクイズ番組『ネプリーグ』(フジテレビ系)で出されたクイズとその答えが、話題になっています。

 18日は「芸能界パパ軍団(名倉潤、哀川翔、木村祐一、篠原信一、原田泰造)」と「戦う!書店ガールチーム(堀内健、渡辺麻友、濱田マリ、鈴木ちなみ、木崎ゆりあ)」による戦い。話題となっているクイズは「世の中の意外な%」を当てるコーナーで出題された「痴漢にあったことがある女性の割合は?」というもの。回答者の鈴木ちなみは30%を予想しましたが、答えは58%でした。

 この58%という数値に対して、ネット上で「高すぎる!」という疑いの声が続出。その様子は、こちらのNAVERまとめ「『ネプリーグ』が「女性の60%近くが痴漢被害経験者」と放送⇒「自意識過剰だ」とネット原住民猛反発」でご覧いただけます。

 各コメントに対して言いたいことが山ほどあるのですが、まずは基本的な点をおさえていきましょう。

痴漢に遭遇した女性が58%の根拠は?

 まずは『ネプリーグ』が使用したデータの出典を調べてみました。すると「気になるアレを大調査ニュース しらべぇ」に、こんな記事が。

【男性が知るべきこと】女性の58.3%は痴漢に遭ったことがあり、その殆どは泣き寝入り

 この調査では、20代から60代の女性に「これまでに痴漢に遭ったことがある」かを聞いたところ、58.3%が被害経験ありと答えたものでした。『ネプリーグ』の58%の根拠はこちらの調査だと思われます。

 痴漢に関しては、先日messyの記事にも使用されていた「電車内の痴漢防止に係る研究会(警察庁)」による調査もあります。

電車内の痴漢防止に係る研究会の報告書について

 この報告書の5ページ目に、インターネットを利用して、通勤・通学のために電車を使う16歳以上の男女にアンケートをとっています。この調査では「過去1年間に電車内で痴漢被害に遭った女性」は13.7%という結果が出ています。

 ここで「ほれみろ! やっぱり58%って数字は大げさだったんだ!」と思った方は落ち着いて下さい。しらべぇの調査は「これまでに痴漢に遭ったことがある」という問いですが、警察庁の調査は「“過去1年間”に“電車内で”痴漢被害に遭った」という問いになっています。条件が違うので、当然回答も変わってくるわけです。

 少なくとも1年間に13%の女性が被害に遭っていて、それは毎年累積されていく。そう考えれば、約60%という数字は妥当なもののような気がします。「多すぎる!」と思っても、実際にそれだけの数字が出ているわけですから、データが誤っているか、自身の認識が誤っているのかを考えたほうがいいと思われます。自身の祖母や母親、姉、おばなど、様々な年齢の人が過去に痴漢被害を受けているのかもしれない――と思い至りませんか。

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