インタビュー

連載中止→単行本出版! 擬人化したマ●コと会話する『あいこのまーちゃん』作家インタビュー

【この記事のキーワード】
やまもとありさ

象の上にいるこの人こそ…

 マンガ連載決定→連載中止→ブログ炎上→クラウドファンディング達成→電子書籍・単行本リリース! 昨年6月から一年以内のうちに怒涛の展開を迎えた漫画家・やまもとありささん。

 中学一年生女子“あいこ”の女性器がある日突然喋りだすという設定のマンガ『あいこのまーちゃん』は、昨年6月にマンガWEBサイト「コミックゼノン」で、やまもとさん初の連載作品として掲載開始を予定されていた。しかし第一話の掲載予定日2日前に、「版元のNGで単行本化が難しい(=採算がとれない)ため中止」となる。理由は、「女子中学生が股を広げて性器と会話する」というシチュエーション自体が「ちょっとよろしくないんじゃないか」と判断されたためだ。

 その後、やまもとさんは第一話を「マンガonウェブ」で無料公開、クラウドファンディングで『あいこのまーちゃん』電子書籍化を目指して資金を募り達成、そして今年4月には笠倉出版社から単行本もリリースの運びとなった。本作品は女性の性徴と成長を描いており、生理の対応やセックスや異性への興味/嫌悪/偏見/恐怖といった複雑な感情が視覚化されている。かといって堅苦しいものではまっっっったくない。笑って読める。気楽に読める。子供でも読める。……子供でも読めるのがいかんのか? 女性器の存在を可視化したらダメなのか? 笠倉出版社の編集担当・O氏(男性)同席のもと、やまもとさんにロングインタビューを敢行した。

■『あいこのまーちゃん』第一話はこちらで読めます!

“理想の少女”が成長して理想じゃなくなる現実

 

『あいこのまーちゃん』

『あいこのまーちゃん』

――単行本化おめでとうございます。楽しく読みました。「マンガonウェブ」で無料公開された第一話には、読者の反応として「面白い!」の賛辞が寄せられる一方で、「これはアウトでしょ」「ちょっと生理的に受け付けない」という声も上がっていましたが、どのあたりが非難ポイントなんですかね?

やまもと「最初の生理であんなに血は出ない、とか。あいこが下腹部をドカッと叩いたのを機に“まーちゃん”(女性器)がゲボッと血を吐いて初潮スタート、喋るようになるわけですが、お腹を叩くという表現がもう受け付けない、とか……『まだ生理が来てない女の子が、叩けば来るんだと勘違いしたらどうする』とか。私としては、そこはマンガ表現なので勘違いされるとか言われても……ってところではあるんですが」

あいこのまーちゃん

初潮シーン。げぼっ!(単行本p10-11)(c)やまもとありさ/笠倉出版社

 

――確かに、茶色いおりもののような経血が少し出るっていうのが実際に近いかもしれないですけど、そこは個人差も大きいですしね。

編集Oさん「茶色?」

――私は茶色いですよ、今でも生理の最初と最後は特に。

やまもと「私も。さらっと茶色いですよね」

編集Oさん「知らなかった。血は赤いものだと思ってました」

――下腹部を叩く表現は、どうして?

やまもと「これは何回もネームを切る中で変化したんですけど。最初のキャラ設定では、あいこはもっと幼稚なキャラだったんです、中学生なのに赤ちゃんかってくらい。だから『えいえいえい、ぽかぽかぽかぽか~』って言いながらお腹を刺激する表現にしてたんですが、それだとあまりに無知な女の子すぎて、リアリティ0なので、“同級生よりちょっと幼いけど、心と体の変化に戸惑ったり恥ずかしがったりもする”っていうキャラクターに落ち着きました。同時に、表現も『えいえいえい』から『ドカッ』になったというか。これはまーちゃん初登場シーンでもあるので、血をゲボッて吐くのも含めてインパクトを与えたかったというのもあります」

――まーちゃんって女性器ですけど、女性器を簡略化した造形ではまったくないんですよね。まずクチが横開き。本当の女性器は縦開きじゃないですか。クリトリスに該当する箇所もないしビラビラしてもいない。可愛いキャラですよね。男性器がこういうふうに擬人化されて、精通や勃起を描いたマンガってあるんでしょうか。

やまもと「根本敬先生はちんこの擬人化とかちんこが話したりするマンガを描いてますよ。ちんこが顔になって自分を支配して、自分がおまけみたいな存在になって……っていう。だから、まーちゃんもいいんじゃないかなと思ったんですよね。それと全く一緒だろと思って。女性器だから有害図書指定されかねないとかって危惧は特にしてなくて」

やまもとありさ

「まーちゃんパンツも作りました」

――対象として、どういった読者を想定して描き始めたんですか?

やまもと「最初は、ロリコン系のエロマンガを好きな大人とか、少女アイドル好きな人とかに読んでもらいたいなってイメージがあったんです。なぜかと言うと、これは私自身もアイドル好きなので当てはまる部分があるんですが、『可愛い女の子にずっと無垢な子供でいてほしい』って幻想というか願望を抱き続けるのは非常にまずいと思ってるからなんです」

――成長したりケガレを知って欲しくないという願望ですか。三次元の少女アイドルは人間だから成長もしますし劣化もしますからね。

やまもと「そうですね。私自身が、アイドルの成長とか受け入れられないファンなんですよ。なので自分のためにも書きました。あいこちゃんのオバカな可愛らしさは私の理想の女の子なんですよ。こういう女の子が成長していくところを本当の私は見たくない。でも敢えて描くこと自分にちょっと負荷をかけたいというか、自分が見たくないものを描きたいと思ったので」

――なるほど。自分を納得させようって?

やまもと「はい。それと、これは性教育漫画として描いたわけじゃないんですけど、ちょっと自分の思春期の時期を思い出しても、親とか先生から教わっても聞く耳もたなかったりするじゃないですか、恥ずかしくて。私がそうだったので、全部わかったフリをしてたんですけど、親や先生の言葉を無視してたら実際のところエロマンガとかで知識を得るようなことになって。そうすると弊害もあって。だから少しは役に立つものになるように描こう、とは思いました」

■まーちゃんパンツはこちらで購入できます

1 2 3

[PR]
[PR]

messy新着記事一覧へ

あいこのまーちゃん (カルトコミックス)