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“女性性”によって社会や組織に復讐する爆弾としての上西小百合や小保方晴子

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 もしかしたら彼女たちは、「とんでもない騒動」という形で自らの所属する組織に爆弾を落とすことによって、政策や実績や研究内容よりも、「頼りなさ」や「初々しさ」や「保守的な男性に夢を与える容姿」が求められ、評価されるシステムを露呈させ、そのまま組織ごと葬り去りたかったのかもしれません。

 むしろ、「政策や実績や研究内容よりも、保守的な男性に夢を与える容姿や振る舞いが求められるような組織を破壊すること」こそが彼女たちの真の政策であり、研究目的であったのではないかとすら思えてしまいます。

 「SHINEと書いて“シネ”と読むのか?」とツッコミたくなる女性活用政策が大真面目に掲げられたりするなかで、彼らの後ろを笑顔で三歩下がって歩きながら、そうした保守的な男性に都合の良い“女性性”によって組織や社会に復讐する。そういう欲望の完遂者として彼女たちを見るとそんなに怒る気にはなれなくなってしまいます。

 彼女たちのような「“女性”型爆弾」が登場することによって、「これだから女ってやつは」と十把一絡げにされ、職業を持つ女性全体への評価が下がる。という危惧もあるのかもしれませんが、そんな、「犯罪を犯した女性がいるので女性は犯罪者になり得る」というかのような理屈はむちゃくちゃです。「犯罪を犯す女性」も「犯罪を犯す男性」もいますし、絶対に罪を犯さないと保証された人間などこの世に存在しません。全ての人間は犯罪者になり得るのです。

 本当の問題は、「男性は男性性を仕事に」「女性は女性性を仕事に」といった、性別役割分担的な発想が職業や研究において適用されることや、見解の相違から女性どうしが論戦することを「女同士の戦い」と煽るように、個人の見解や社会的立場に“女性性”のレッテルを貼付けることの方にあることに、いい加減気づくべきであるように思います。

 「政策や実績や研究内容よりも、保守的な男性に夢を与える容姿や振る舞いが求められるような組織への復讐」として上西小百合議員や立川明日香さん、小保方晴子さんを見ると、「生産性がないことだと思うけれど怒りは沸かない」のですが、「上西小百合議員のあのメイクがどういう手順で完成するのか」という点には相変わらずゲスな興味があります。

■  柴田英里(しばた・えり)/ 現代美術作家、文筆家。彫刻史において蔑ろにされてきた装飾性と、彫刻身体の攪乱と拡張をメインテーマに活動しています。Book Newsサイトにて『ケンタッキー・フランケンシュタイン博士の戦闘美少女研究室』を不定期で連載中。好きな肉は牛と馬、好きなエナジードリンクはオロナミンCとレッドブルです。Twitterアカウント@erishibata

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柴田英里

現代美術作家、文筆家。彫刻史において蔑ろにされてきた装飾性と、彫刻身体の攪乱と拡張をメインテーマに活動しています。Book Newsサイトにて『ケンタッキー・フランケンシュタイン博士の戦闘美少女研究室』を不定期で連載中。好きな肉は牛と馬、好きなエナジードリンクはオロナミンCとレッドブルです。現在、様々なマイノリティーの為のアートイベント「マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー(MAPA)」の映像・記録誌をつくるためにCAMPFIREにてクラウドファンディングを実施中。

@erishibata

「マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー(MAPA)」

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