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『親なるもの 断崖』で話題沸騰中の漫画家が描く「スーパーのレジの人なるもの」

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『レジより愛をこめて』(講談社)

レジより愛をこめて』(講談社)

 この頃、どのサイトを開いてもある電子書籍のバナーが出てくる……そのマンガ、読んでみるとかなり面白いらしい……と、ジワジワ話題になっている壮絶なマンガ・『親なるもの 断崖』。皆さんもすでに、どこかのサイトでバナーとしてこの作品の1コマを目にしているはずです。東北地方から北海道・室蘭の遊郭街へ“売られた”少女たちの姿を描いたこの作品、刊行されたのは1991年。作者の曽根富美子は、本作で92年の第21回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞しています。

 これだけの作品を世に出した漫画家・曽根富美子は、では2015年現在はどんな作品を描いているのか? 意外なことに、彼女は「生活費の帳尻合わせ」に苦心し、スーパーの新人レジ係として奮闘しており、その様子を綴った作品『レジより愛をこめて~レジノ星子(スタコ)~』を今年2月に上梓していたのでした。

レジスター様に敬意を!

 高校卒業間近に雑誌投稿したマンガが新人賞をとり、その後は「バブルの波にも乗れてマンガで食べていけてた」彼女、しかしバブルは終焉を迎え、「出版社に新作を持ち込みしてもボツ続き」、ここ数年は画家として油絵の注文を請け負うHP(http://kitanosaki.com/)をつくり細々と生活していました。とはいえ「生き続けていくシンドさで力尽き」、「お金も底をつき」……。

 友人から「絵で食ってきたプライドとかあるかもしれないけど、パートとかバイトすれば?」と何気なく提案されたことで、「そっか、そういう働き方してもいいんだ!」と目の鱗をぶっとばした彼女は、よく買い物に行く近所の全国チェーン大手スーパー(仮称・LOVEコープ/所在地は首都圏)で募集されていたレジバイトの求人に飛びつき、採用に至りました。

 この時点で曽根富美子、50歳代。生活していくためのお金と、共に暮らす猫と小鳥の餌代を稼ぐために、新人バイトとして奮闘する姿が、『レジより愛をこめて』ではコミカルに描かれていきます。時給はおよそ900円。週5日7時間勤務(途中から週4日に変更となるが)。30年間、絵だけで生活してきた彼女が未踏の地に足を踏み入れてどうなったのか? 結果、こうしてその経験はお仕事エッセイマンガになったわけなんですね。

 年下のベテランレジスターたちは、独特の腰つきとリズム感でピッピッと商品バーコードをスキャンし、手際よく美しくお客様カゴ内にスキャン済み商品を整頓していきます。見惚れるほど鮮やかな手つきに新人の星子(=曽根)は感心の毎日。その観察眼と着眼点はかなり鋭く、普段まったく意識したことのなかった「スーパーのレジ打ち」というお仕事がなんとなくワクワクする職場として輝いて見えるようになります。

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