カルチャー

歌声とゲロにまみれて深まりゆく女たちの熱き友情『ピッチ・パーフェクト』

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『ピッチ・パーフェクト』公式HPより

『ピッチ・パーフェクト』   ジェイソン・ムーア監督

 LAで音楽プロデューサーになることを夢見る主人公・ベッカは、父親の勧めで嫌々ながらも地元の大学に入学する。友だちも作らず、ひとりで地味な学生生活を送っていた彼女は、わけあって女子アカペラサークル「バーデン・ベラーズ」に参加することになった。最初はうまくいきそうもなかった風変わりなメンバーたちが、歌を通して徐々に大切な仲間になっていく。まあいわゆる、青春音楽コメディだ。俳優たちの歌声が本当に素晴らしく、アカペラに興味がなくても無意識にテンションが上がってくる。これは是非劇場で体験していただきたい。

 欧米でアカペラが少し流行っているらしい昨今だが、アメリカの大学においてアカペラこそが最高にクールでイケてるサークル! だなんてことはない。バーデン・ベラーズの面々は、日本の感覚で言うと、スクールカースト中の下くらいのちょいダサガールズだ。彼女たちも、敵対する男子アカペラグループも、垢抜けず田舎臭い雰囲気。学内でカッコイイ扱いも全く受けていない。アカペラをかっこよくスタイリッシュに見せようという映画ではないわけだ。筆者は『ブリングリング』みたいなオバカセレブガールズや、『SEX AND THE CITY』に登場するスタイリッシュで都会的な女性たちが大好きだが、ベラーズの女子大生たちの描き方も大好きだ。彼女たちのルックスはイケてないし、モテないが、観客にとってはこれ以上ないほど魅力的だ。

 彼女たちはセレブじゃないしアイドルでもない普通の女子大生として描かれるわけだが、学生が趣味で唄って踊る世界であっても、ルッキズムは残酷に機能する。ステージに立って歌う以上、少なからず容姿が重視され、それなりのビジュアルを求められる。ストーリーではベラーズがアカペラ全国大会出場を目指す過程が描かれるが、だから“イケてない”彼女たちはわりと不利である。

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gojo

1979年生まれ大阪出身、立教大学社会学部社会学科卒。2005年より自身のサイト「gojo」にて映画日記を執筆、2010年には蓮實重彦、黒沢清『東京から 現代アメリカ映画談議』(青土社)の出版記念トークイベントにてインタビュアーをつとめた。「森﨑東党宣言!」(インスクリプト)に寄稿。gojogojo.comで映画日記を更新中。

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