連載

秘宝館ってどんな所? 消え行くエロ娯楽施設が私たちに教えてくれること

【この記事のキーワード】
momoco99a

謎の人魚が迎えてくれます。セクシ〜。

 私が学生のころ、学科旅行というのがあり、1年生全員(たいへん小規模な大学だったので)と教授陣で1泊で熱海に行きました。そのとき電車の窓越しに〈熱海秘宝館〉という文字を見つけた私、先生に「秘宝館って、何を展示しているところなんですか?」と興味津々で訊ねたのです。美術館や博物館についても勉強する学科だったので、そういう施設だと考えたのですね。なんて、おぼこい19歳。先生はごにょごにょと口ごもって質問をはぐらかし、私は釈然としないままその旅行を終えました。

 そんな思い出のある熱海秘宝館、ついにデビューしてきました!

 昨年末に栃木県の鬼怒川秘宝館が閉館されましたし、全国を見渡しても秘宝館はもはや風前の灯。いずれこの世から消えてしまうものです。散りゆくエロティシズムを回顧する、昭和のセックスカルチャーに出会う……いろんな見方があるでしょうが、私はなんといっても秘宝館バージン、先入観なく見たまんまを受け取ろうとまっさらな気持ちで熱海に向かいました。

 日本有数の温泉街、熱海を一望できる八幡山を車でのぼっていくと、レトロな人魚がお出迎え。しかも、昭和歌謡なBGMが流れています。館のオリジナルソングだそうで、哀切きわまるメロディに後押されるようにして、その入口をくぐります。

momoco99b

ビラビラしてますね!

 ちなみに、館内は撮影禁止です。個人的には館内のエロで珍奇な展示物をがんがん写メり、twitterなりinstagramなりSNSで世界に向けて発信してもらったほうが、館の存続につながると思うのですが、欲がまったくないんですね。超然とした姿にしびれます。

 そして館内で出会ったのは、〈牧歌的な〉性表現でした。もっと端的にいうと〈マヌケ〉です。ご当地を舞台にした『金色夜叉』の名場面、貫一・お宮や、浦島太郎のエロパロディ、コインを投げ入れると等身大の女神フィギュアが巨大張り型をこすって水が吹き出す〈みこすり半ゲーム〉など、ゆる~い展示物の連続でニヤニヤが止まりません。ゲームコーナーには、モグラたたきならず〈亀頭たたき〉が用意され、ピコピコハンマーを手にした友人が、にょきっと顔を出す亀頭をムキになって叩きまくるのが、ワタシ的にはハイライトでした。

哀愁たっぷりの展示物

 そのすべてに、なんともいえない哀愁が宿っています。日本がイケイケドンドンだった時代に、全国のあちこちで建てられたエロスの殿堂・秘宝館。きっと当時はキラキラしたエロスをふりまき、訪れた人の性的好奇心を多いに満たし、もちろん性欲も刺激して、そのまま周囲の温泉に泊まるカップルの前戯的役割も果たしていたのでしょう。でも、その後、日本に娯楽が増えるにつれ、あるいはさらに過激で直接的なポルノグラフィが世にあふれるにつれ、訪れる人も減り、次第に時代から取り残されていきます。その、うら寂しさたるや! けれどそのペーソスこそが笑いを誘い、抜くためのエロスとは違った独自の世界観につながっているように見えました。

 今回の秘宝館デビューは、オトナの遠足と題して6人連れでの訪問でした。マヌケなエロ表現に出会い、一緒になってげらげら笑うという体験は、私にとってたいへん貴重なものでした。「エロって、これでいいんだな」と腑に落ちたのです。

1 2

桃子

オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

@_momoco_

Facebook

[PR]
[PR]

messy新着記事一覧へ

秘宝館という文化装置