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SM映画の傑作は、まるでスポ根ムービーだった! 女性がポルノを観る意義

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谷ナオミの裸体は国宝級! Amazonより

 2年ほど前からピンク映画を観るようになった私ですが、先日、初めて日活ロマンポルノを観賞する機会にめぐまれました。どっちもポルノ映画でしょ? と思われるかもしれませんね。製作年代の違い(ピンクは現在も新作が作られています)、製作会社の違い、予算の違い……などなど違いは多くありますが、この世界を知りはじめたばかりのヒヨッコである私がそれらを語るのはおこがましいので控えます。ただ、どちらも数々の名作を残していることは間違いなく、今回私が観たのもそのひとつ。SMの大家・団鬼六の小説を映画化した『夕顔夫人』です。

 去る7月5日『TOmagazine企画 ~iroha夜の女学院vol.2~ジャパンSMの金字塔~』として、女性限定の上映会が開かれました。女性向けラブグッズブランド、irohaの催しです。ゲストに作家・湯山玲子さんをお迎えし、観賞後には本作を読み解くトークショーがあるというから豪華です。

 『夕顔夫人』は1976年の作品です。主演は、谷ナオミ。みうらじゅんが女神のように崇めるロマンポルノ女優で、私も当然、名前ぐらいは私も知っていますが、現役時代についてはまったくもって無知でした。その姿を目撃できただけでも、今回のイベントは価値がありました。

 SMの大家とSMの女王というドリームチームからなる作品は、男の性が女性の性どころか人格もすべて剥ぎとって支配する、本格的な嗜虐と被虐の世界を描いています。昨今の「私、Mなんです~」という、ただ受け身なだけの甘っちょろい自称Mたちはこれを観てから口を開いたほうがいいです。それほど、SとMの関係性がお手本的に描かれているシーンがふんだんにありました。

 谷ナオミが演じるのは、華道の家元で未亡人の夢路(ゆめじ)。まず彼女のかわいい義妹・由利子が、ルサンチマンという語が服を着て歩いているかのような大学生にレイプされます。男はその様子を撮影し、由利子の婚約者にこの写真を見られたくなければ金を用意しろと夢路を呼び出し、そのままレイプし監禁します。しかもその手引をしているのが、夢路の部下である女性。青年に犯させるだけでは飽きたらず、みずからも鞭をふるっては、苦痛に顔をゆがめる夢路を冷たく見下ろします。

調教の過程がエグすぎ!

 高値の花である夢路のプライドを、花弁のようにむしり取ってずたずたにしたあげく、青年と部下の女は彼女をSM調教の専門家に送り込みます。まるで家畜のように飼われ、男の嗜虐性をただ受け入れるだけの身体へと仕立てられていく夢路……というストーリーなのですが、女性の自我を奪うための数々の手法には、それが残酷なものであることはさておき、「よくこんなこと思いつくなぁ」とつくづく感心させられました。

 〈花電車〉といわれる、女性器に筆を挿入して腰の動きで文字を書かせる芸は、一見すると滑稽で笑ってしまいますが、そこで書かせる文字が「女」というのが屈辱的です。食事は床に器を置いて犬食いさせ、樹の上から逆さ吊りにし、最終的に行きつくのは〈人間生け花〉! 開脚で逆さ吊りにされた夢路の女性器に、次々と花を活けていってひとつの作品にする……華道の家元だった夢路を辱めるためのリーサルウェポン的な責め苦です。このインパクトがすさまじくて、笑っていいやら呆れていいやら、という微妙な空気が会場には漂いました。

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桃子

オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

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