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トヨタの配偶者手当廃止で話題。会社員の「家族手当」っておかしくない?

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Photo by Janet Newton from Flickr

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 トヨタ自動車が社員に付与している家族手当を見直すニュースが話題になっています。

 現在、トヨタでは社員に扶養している配偶者がいる場合、19,500円の手当が渡されているそう。そこに子供ひとりあたり5,000円の手当も加算され、自分、被扶養の配偶者、子供1人という3名の家族構成(パターンA)なら、24,500円の手当がつく。この家族構成で配偶者が扶養から外れる(=配偶者も一定額以上の金銭収入を得ている)場合(パターンB)、配偶者分の19,500円の手当はなくなりますが、その金額は一人目の子供への手当にスライドし、19,500円分は確保される(第2子以降の手当は5000円ずつ加算される)仕組みだったそうです。

 これが見直し後にどうなるか。被扶養の配偶者向けの手当は全面的に廃止、子供1人あたり2万円の手当に一本化されるようです。パターンAならば手当は4,500円の減少、パターンBなら500円の微増。子供がひとり増えると2万円ずつ増えるわけですから、子供がたくさんいる家庭は手当の増加額も大きくなります。しかし、被扶養の配偶者で子供がいない家庭(たとえばトヨタ社員男性+専業主婦の2人家族)の場合は、単純に19,500円の減少になり、これが子育て支援と、女性の就労を促すことになる、これは国の方向性を先取るような動きだ、とニュースでは説明されているわけです。

働かない主婦に効く施策なのか…?

 悪意のある読み方をすれば、このニュースは「『子供もいないくせに働いていない女性は、毎月19,500円失うんだから働け!』とトヨタは言ってるよ」ということを伝えているわけですが、果たして、これで女性の就労が促されるのかどうか……。

 夫がトヨタ社員で子供なし専業主婦の家庭はそのままだと年間234,000円の損失になるわけですが、この金額だと結局、「働かなきゃ!」という動機づけには弱いと思うんです。ましてや、子供ひとり専業主婦の家庭では減額規模は年間54,000円ですよ。そのぐらいの変化なら働きに出るよりもちょっとした節約で対応、っていうご家庭のほうが多いんじゃないでしょうか。

みみっちいこと言ってないで手当純増しろ

 子供1人あたり2万円の手当というのも微妙な感じです。すでに子供が2人以上いるケースなら手当純増してラッキーだしありがたいと思うでしょう。しかし「毎月2万円増えるから子育てしやすくなったし、もう一人考えようか……?」と思いますかね? 幸せ家族増員計画にはほど遠い金額ではないでしょうか。今よりは助かるしありがたいけれど、家族計画に影響するかどうかは別物……すなわち少子化対策として有効かどうか微妙だと思うんですよね。

 「働きたくても働けない人への配慮がない」「産みたくても産めない人への配慮がない」という声に出して読みたい日本語のシュプレヒコールを巻き起こしそうな気もしますし、15兆円も内部留保(日本の大企業は285兆円の内部留保を溜め込んでるそうです。トヨタだけでその5%を占めていると言われる)があるんだから、配偶者扶養手当にプラスして子供1人あたり2万円手当出します、純増です! ぐらいやっちゃえば良いじゃないですか。働いてない人向けの手当減らして労働へのインセンティヴとかしょぼくないですか。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra

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